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便る
「便る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
便るの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
時々、海老屋の大時計の面が、時間の筋を畝らして、幽な稲妻に閃めき出るのみ。二階で
便る深夜の光は、瓦斯を合わせて、ただその三つの灯となる。 中のどれかが、折々|....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
れは気の毒なことで、それならば私と一緒に江戸まで行きなさるが宜い私は江戸には別に
便る処もないが、谷中の南泉寺へ寄って已前共に行脚をした玄道という和尚がおるから、....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
賊の棲でも、いかさま碁会所でも、気障な奴でも、路地が曲りくねっていても、何となく
便る気が出て。――町のちゃら金の店を覗くと、出窓の処に、忠臣蔵の雪の夜討の炭部屋....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
りの危険が伴うからやらない方が安全であると私は思う。そして充分自然を愛し、自然に
便る事が安全だと思う。自然は無頓着であるから従って千差万別である。一つとして同じ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
さてどこを居所とも定まらぬ一夜の宿。 消えなんとする旅籠屋の行燈を、時雨の軒に
便る心で。 僧は燈火の許に膝行り寄った。 寝衣を見ると、どこも露ほども濡れて....
「家常茶飯 附・現代思想」より 著者:森鴎外
聞かせる声に賺されて、寝る時は寝るでしょう。そういう風にその可哀相な人はわたしに
便るのだから、わたしはまたその人の助になるのを自分の為事にしているのです。それが....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
中にお出でなさいますか、お情ない事でございますなア」 鹽「いやもう浪人して、別に
便る所もないから、此の村に元家来の惣助という者がいるから、それを便って来て、少し....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
なって、ついそこへ、並木を来かかる。…… 年増分が先へ立ったが、いずれも日蔭を
便るので、捩れた洗濯もののように、その濡れるほどの汗に、裾も振もよれよれになりな....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
、堪え難いものであるには違いないとしても、まだそれを感じるはっきりした自己意識の
便るものがある。もし、この便りをさえ失った後は、全く忘却の中に悪魔や鬼神の擒とな....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
く、従って作る人もなくなってゆくのは是非もないことであります。しかも近頃は手機に
便るよりも機械に任せることが主になったので、格安には出来ますが、品質は著しく落ち....