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便所
「便所〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
便所の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
鳥を見舞うのだった。お鳥は玄鶴の寝こまない前から、――七八年前から腰抜けになり、
便所へも通えない体になっていた。玄鶴が彼女を貰ったのは彼女が或大藩の家老の娘と云....
「冬」より 著者:芥川竜之介
いだった。のみならず僕のはいったほかにもペンキ塗りの戸の幾つも並んでいるのは共同
便所にそっくりだった。面会室の正面にこれも狭い廊下《ろうか》越しに半月形《はんげ....
「二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
、もう廻りの狭い廊下が、人で一ぱいになって居ります。私はその人の間を縫いながら、
便所から帰って参りましたが、あの弧状になっている廊下が、玄関の前へ出る所で、予期....
「夢」より 著者:芥川竜之介
れなかった。
その晩《ばん》も風はやまなかった。わたしはふと目をさまし、下宿の
便所へ行こうとした。しかし意識がはっきりして見ると、障子《しょうじ》だけはあけた....
「或る女」より 著者:有島武郎
かったが、葉子は垣根《かきね》越しに苔香園《たいこうえん》の母屋《おもや》の下の
便所らしいきたない建て物の屋根を見つけて困ったものがあると思った。そのほかには台....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ふさわない重苦しさが漲《みなぎ》って、運送店の店先に較《くら》べては何から何まで
便所のように穢《きたな》かった。彼は黙ったままで唾をはき捨てながら馬の始末をする....
「星座」より 著者:有島武郎
なければ、酔ざめの淋しさはとても渡瀬には我慢ができなかった。彼は立ち上った。
「
便所か」
と人見も同時に立ってきた。廊下に出るときゅうに刺すような寒気が襲って....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
、棚の残燈を取って、縁へ出た。次の書斎を抜けるとまた北向きの縁で、その突当りに、
便所があるのだが、夫人が寝たから、大廻りに玄関へ出て、鞠子の婢の寝た裙を通って、....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
り、そわそわ甲板士官の側へ歩み寄った。 「どうしたんだ?」 「何、副長の点検前に
便所へはいっていたもんだから。」 それは勿論軍艦の中では余り珍らしくない出来事....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
も、煮ようたって醤油なんか思いもよらない。焼くのに、炭の粉もないんです。政治狂が
便所わきの雨樋の朽ちた奴を……一雨ぐらいじゃ直ぐ乾く……握り壊して来る間に、お雪....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
りとその両側、雨戸を開けて、沓脱のまわり、縁の下を覗いて、念のため引返して、また
便所の中まで探したが、光るものは火屋の欠も落ちてはいません。 じゃあ次の室を…....
「諸国の玩具」より 著者:淡島寒月
で三千円という利益があった。 当時奥山の住人というと奇人ばかりで、今立派な共同
便所のある処|辺に、伊井蓉峰のお父さんの、例のヘベライといった北庭筑波がいました....
「東京に生れて」より 著者:芥川竜之介
全然なくなつてしまつたわけではない。僕は或る夏の暮れ方、本所の一の橋のそばの共同
便所へ入つた。その
便所を出て見ると、雨がぽつ/\降り出してゐた。その時、一の橋と....
「取舵」より 著者:泉鏡花
盲人は数多渠の足下に叩頭きたり。 学生は渠が余りに礼の厚きを訝りて、 「うむ、
便所かい。」とその風体を眺めたりしが、 「ああ、お前|様不自由なんだね。」 か....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
てあったのが「戦争史大観」の第一版である。第三日は吟爾賓に移り研究を続け、夜中に
便所に起きたところ北満ホテルの板垣大佐の室に電灯がともっている。入って見ると、板....