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便箋
「便箋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
便箋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
いつも学校宛に手紙を送って貰っていたのだった。案の定、五円紙幣が二枚、べったりと
便箋にはりつけてあった。為替を組むことを知らないのである。お君は豹一が塾で授業料....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
だ、君への手紙を書く時間が少くて、これには弱っている。たいてい食事後に、いそいで
便箋を出して書いているが、書きたい事はたくさんあるのだし、この手紙も二日がかりで....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
会できないそうです。御用があるなら、この紙にちょっと書いて下さいまし、そう言って
便箋と万年筆を差し出したのである。僕は、がっかりした。老大家というものは、ずいぶ....
「秋日記」より 著者:原民喜
と翌日、病院へ使いに行った女中が妻の手紙を持って戻り彼に手渡した。小さく折畳んだ
便箋《びんせん》に鉛筆で細かに、こまかな心づかいが満たされていた。(あなたがしょ....
「惜別」より 著者:太宰治
おわかりにならないでしょう? 一箇所だけ、日本文に直してみましょうか。」 彼は
便箋に何の苦もなくすらすら数行書き流し、それから急に顔を赤くしてためらいながら私....
「俗天使」より 著者:太宰治
ャボン玉。きのうは、お寺さんと買い物にまいりました。お寺さんの買ったものは、白い
便箋と、口紅と、(口紅は、お寺さんに、とてもよく合う色でした。)それから、時計の....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
の帰りに、古いジャケットを売って三百円得ました。それで私はコーヒをのみ、インキと
便箋を買い、残りの百円で映画でもみようとにぎやかな街に出ました。と、そこに、信二....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
あり、彼女の部屋は、ほたるの絵の壁紙であった。小さなこけし人形や千代紙や、封筒や
便箋を蒐集することが好きであった彼女は、それを少しずつ私にわけてくれた。学校に居....
「巷談師」より 著者:坂口安吾
かも知れない。 共産党の手紙は、非常に短いか(ハガキで三行前後)非常に長いか(
便箋十枚――二十枚ぐらい)いずれかである。 弟子入り志望の手紙は共産党と同じぐ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
える胸を制して、為替をしらべてみた。金額二十円の小為替が、都合七枚、新子らしく、
便箋へ簡明に走り書がついている。 こちらへ来ると、すぐお嬢さまが、ご病気で、徹夜....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
か決心したらしく、大いそぎで自分の居室に帰って行った。居室に帰ると、すぐ机の上に
便箋をひろげた。そして、もう一度考えこんだあと、ペンを走らせた。 「手紙見た。感....
「リラの手紙」より 著者:豊田三郎
何か青江の良心に影があるのだと復疑い久能が手紙を束ねかけるとばらばらと四、五枚の
便箋が落ちたので、取りあげてみると、金線で縁どった立派なもので××ホテルのしるし....
「城」より 著者:カフカフランツ
に身体をくっつけてきて、ランタンを高く上げた。手紙を風から守るために、Kは大きな
便箋を読むためにごく小さく折りたたまなければならなかった。それから、彼は読んだ。....
「審判」より 著者:カフカフランツ
だったが、このブロンドの大頭の男は物わかりがわるいので、その合図を間違って取り、
便箋を振りながら危なかしいほどのとびかたでKの後を追ってきた。Kはそれに非常に怒....
「魯迅さん」より 著者:内山完造
り、木刻紀要第一集が出た。また、その一方に古い版画、明代の小説の挿絵とか、詩箋、
便箋の技術を残す必要があるというので、鄭振鐸と一緒に、北京の栄宝斎など十軒ばかり....