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便船
「便船〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
便船の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
》みなぞはすまいな? あれは便りのないみなし児じゃ。幼い島流しの俊寛じゃ。お前は
便船のあり次第、早速《さっそく》都へ帰るが好《よ》い。その代り今夜は姫への土産《....
「俊寛」より 著者:菊池寛
四 有王が、故主の俊寛を尋ねて、都からはるばると九|国に下り、そこの
便船を求めて、硫黄商人の船に乗り、鬼界ヶ島へ来たのは、文治二年の如月半ばのことだ....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
ないので、歩行の不自由な女を介抱しながら、ともかくも江戸の方角へ向うことにして、
便船をたのんで上総へ渡り、さらに木更津から船路の旅をつづけてつつがなく江戸へはい....
「家」より 著者:島崎藤村
た。また一月待った。 橋本の若夫婦――正太、豊世の二人は、母のことを心配して、
便船に乗って来た。 この人達を宿の二階に迎えた時のお種の心地は、丁度吾子を乗せ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
らは興を失ったらしく、ついにその拷問をやめてしまった。 三年後、かれは幸いに、
便船を得て逃げ帰ったが、その両股は一面に黒く焼かれていた。 三重歯 右相....
「霊魂第十号の秘密」より 著者:海野十三
だった。 コロンボで、船を下りなくてはならなかった。そしてそこで、更に東へ向う
便船を探しあてることが必要だった。親子は、慣《な》れない土地で、新しい苦労を重ね....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
け取ったかと書かれてあるのでした。しかし僕はそんな覚えはないのでこれは必然、何か
便船の都合か何かで前後したものかくらいに思って気にも止めなかったのですが、何しろ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
もないけれど、その時のは、はい、嘉吉に取っては、あやかしが着きましたじゃ。のう、
便船しょう、
便船しょう、と船を渚へ引寄せては、巌端から、松の下から、飜然々々と乗....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
ないのである。カカリアイになるのが怖いから、特別の船をだしたがらない。松前行きの
便船がでるまで待て、というので、一行は一ヶ月ほど塩竈の遊女屋に流連して
便船を待っ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
へひろげていた例の図面へ、きっと酔眼を落としたが「いやこれは偶然からだ。……実は
便船を待ちながら、木更津の海辺をさまよっていると、細身蝋塗りの刀の鞘が、波にゆら....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
て航海するうわさを耳にした夫妻は、手をうって喜んだ、さっそくケートが走って船長に
便船かたをたのんだ。それはすぐにゆるされた。 セルベン号は、船長とふたりの運転....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
…… 亭主が、これも、まめまめしく、方々聞合わせてくれたのだけれども、あいにく
便船がなく、別仕立の渡船で、御坊一人十|匁ならばと云う、その時の相場に、辟易して....
「西航日録」より 著者:井上円了
店を訪い、馬場氏に面し、日新館にて河合、甲賀両氏と手を分かち、印度支那汽船会社の
便船瑞生号(Suisang)に転乗し、午後五時、ペナン(Penang)に向かって....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
詩泥歌をもあわせて録し、もって読者の一笑を煩わすに至れり。 南半球の旅行中に、
便船の都合にて英国を経由し、欧州を歴訪したれば、その紀行を本書中に加え、もって欧....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
いたいと思って、この港町へきたのだ」 「それで?」 「ここからは、フランス行きの
便船がでる。フランスへわたり、汽車でスペインへいって、そこからアフリカのアルジェ....