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係わらず
「係わらず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
係わらずの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
どうしてこんな辛抱がいつまでも続こうぞ。結婚前までは葉子のほうから迫ってみたにも
係わらず、崇高と見えるまでに極端な潔癖屋だった彼であったのに、思いもかけぬ貪婪《....
「或る女」より 著者:有島武郎
ぐろ》の縮緬《ちりめん》の紋付きにして旅館を出た。倉地は昨夜の夜《よ》ふかしにも
係わらずその朝早く横浜のほうに出かけたあとだった。きょうも空は菊|日和《びより》....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
生の前で、立騒いでは、と控えたが、門生が澄まし込んで冷淡に膝に手を置いているにも
係わらず、酒井はずッと立って、脊高く車掌台へ出かけて、ここにも立淀む一団の、弥次....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
、人間は塵ひとひらにも及ばない。人間などという存在は全く無視されている。それにも
係わらず君たちは頑固に自分たちの存在を主張した。雪も風も波も君たちを考えにいれて....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
然界の誤謬ではないと主張しよう。少くとも地球の上には、意識的であると然らざるとに
係わらず、個性認識、個性創造の不思議な力が働いているのだ。ベルグソンのいう純粋持....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
分とお由を張り合った結果、お由が思う様にならないので、あの夜自分が非番であるにも
係わらず、忍んで行って、犯行の後、巧みに千往|遊廓へ現われたとも考えられた。 ....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
く手懸りがなくなった。夫人の毒死が判り、一夜を明した男のあるのも判っているのにも
係わらず、この事件は又、遂に結論を『自殺』へ持って行かねばならないのか。自分の直....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
、神田と高輪の場合は半焼けだった。高輪の時は附近の人に質すと確に半焼けであるにも
係わらず、保険会社では動産保険の全額を支払っていた。神田の時は支倉の隣家の人が放....
「美女を盗む鬼神」より 著者:田中貢太郎
を見るともう妻の姿が見えない。驚いて起きあがったが、戸締も宵のままになっているに
係わらず、どこへ往ったのか見えない。戸外へ出て探そうにも、家の前はすぐ深山になっ....
「富貴発跡司志」より 著者:田中貢太郎
にくだして、今|已に之を福籍に著わした」 「―姓―官は、爵位が崇く、俸禄が厚いに
係わらず、国に報ぜんことを思わないで、惟だ貪饕を務めて、鈔金三百錠を受け、法を枉....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
知らなかった。が、ホウセリトが死んだ日は、闘牛があったくらいだから日曜だったにも
係わらず、この法律を無視して堂々と大々的に写真入りの号外を出して、そして堂々と罰....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
、それを自分の責任として、一人で汽車の震動と争っていた。それらのことが、闇黒にも
係わらず、私には、よく見えるのだった。 暁と羅馬とが、線路の末にあった。 そ....
「雀の宮物語」より 著者:田中貢太郎
持って来た」と、云って紙に包んだ餅を出すと、百姓は喜んで腹が一杯になっておるにも
係わらず、蟇が虫を喫うように其の餅を嚥み込んでしまった。 翌朝から百姓の腹のぐ....
「自分を鞭打つ感激より」より 著者:小川未明
文壇というものがあって、そこに於て取扱われる問題は、何なりとも、私は、それに
係わらず、自己の思念を抂げず、広い社会に向って、呼びかける――それを直に芸術とき....
「妖影」より 著者:田中貢太郎
底では、二三日前に降った雪が、屋根にも路ぶちにも一面にあって、寒い晩であったにも
係わらず無くならないうちにと思って、またその男を伴れて、大学前へ往って、それを買....