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係累
「係累〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
係累の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
のである。人間は誰とて無事をこいねがうの念の無いものは無い筈であるが、身に多くの
係累者を持った者、殊に手足まといの幼少者などある身には、更に痛切に無事を願うの念....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
先代の赤耀館主人であった私の亡兄丈太郎の妻、つまり私にとっては嫂にあたる綾子も、
係累の少い一人娘だったのです。嫂には姪に当る梅田百合子というのが唯一の親族でした....
「浮動する地価」より 著者:黒島伝治
そんな危惧をさえ抱かせられていた。 僕等は、さっぱりとした。田も、畠も、金も、
係累もなくなってしまった。すきなところへとんで行けた。すきな事をやることが出来た....
「青服の男」より 著者:甲賀三郎
く、従って伯父の財産はそっくり僕が継いだんです。所が僕は全くの独りぼっちで、全然
係累がありませんから、今の所、僕の相続人は卓一君で、僕が死ねば僕の財産はそっくり....
「工場細胞」より 著者:小林多喜二
さい処が眼についた。二人はそこで鍋焼を食った。――河田は森本の家の事情や、収入や
係累のことを聞きながら、自分のことを話し出した。 こういう運動をやるようになっ....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
えると、いつも胸が痛くなる。いてもたってもいられないような気がする。小さい家庭の
係累などのためにこの若い燃ゆる心を犠牲にするには忍びないと思う。この間も郁治と論....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
くても、一人で飯を焚き、一人で暮らしている生活をしたい望をもっている。だが、私の
係累《けいるい》は、ことごとく、私より若く、強い。矢張り、私は働きづめに死ぬのだ....
「成長が生んだ私の恋愛破綻」より 著者:伊藤野枝
なったら離婚をする事を原則としてくらしていました。けれども、それは周囲のいろんな
係累に妨げられて、容易に実行の出来る事ではないのでした。それでも、私はとうとうそ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ごうがん》に孤立しているが、周囲の事情に於ては、かえって世上一般に優るとも劣らぬ
係累を絶つことが容易でないのに、駒井の王国は、いつ何時でも、世間の
係累から切り離....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でもともかくも先生扱いをされている手前上、そう無茶な発展もでき兼ねていたのが、無
係累の旅へ飛び出したのですから、多少の人間味がわき出して来るのは、ぜひもないこと....
「現代小説展望」より 著者:豊島与志雄
脆弱を感じる。だがその自意識の悉くは力である。彼の皮肉はそこから来る。……財産も
係累もなく年老いた孤独な乞食に等しい貧しいドン・キホーテは、あらゆる邪悪を救治し....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
も便宜上の一機関、仁義も義理も尊敬も愛情もない。それはさうにきまつてゐる。住所も
係累もないのだから、いつ、どこへでも飛んで行かれる。どこでも開業できるのだから、....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
まずに直ちに小説家になる御決心の由、御勇気のほどは感服する、けれども貴兄は家族の
係累等はどうなのか、学校を卒業しておけばまず食うに困るような事はないが、今から素....
「新案探偵法」より 著者:小酒井不木
れたことが二三度ありましたけれど、決して動こうとはしませんでした。尤も鯉坂君には
係累というものがなく、親譲りの財産があって、食って行くには少しも差支ありませんで....
「水郷異聞」より 著者:田中貢太郎
まってくださる方がありませんから、一人で気ままに暮しておりますわ」 「かえって、
係累がなくって気楽ですね」 「気楽は気楽ですけれど、淋しゅうございますわ、だから....