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「俄然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

俄然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
して、実見者の談によれば、格闘中同人が卓子《テエブル》と共に顛倒するや否や、首は俄然|喉《のど》の皮一枚を残して、鮮血と共に床上《しょうじょう》に転《まろ》び落....
星座」より 著者:有島武郎
に園には思えた。それらのことは瞬《またた》きするほどの短かい間に、園の心の奥底に俄然として起り俄然として消えた電光のようなものだったから。そしておぬいさんがそれ....
外科室」より 著者:泉鏡花
き、 「あ」と深刻なる声を絞りて、二十日以来寝返りさえもえせずと聞きたる、夫人は俄然《がぜん》器械のごとく、その半身を跳ね起きつつ、刀《とう》取れる高峰が右手《....
婦系図」より 著者:泉鏡花
る一件だ。」 「め組に……」 「沢山だ、沢山だ。私なら、」 と声ばかり沢山で、俄然として蜂の腰、竜の口、させ、飲もうの構になる。 「不可ません、もう飲んでるん....
美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
よ。』 『あたしも……。』 と、他の二人もチユウリツプの註文をした。然し此時、俄然よわつたのは狐光老だつた。何を隠さう、彼はチユウリツプの花を知らなかつた。『....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
見られなかった。しかし山側を見ていると、須磨迄は大丈夫であったが、林田区に入ると俄然大きく焼けていた。三菱電機の研究所のあった建物も焼けていた。湊川新開地も焼け....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
は、一陣の疾風にうちのって、動きだしたのである。 飛行島出動 飛行島は、俄然活気をおびた。 まだ収容しつくさなかった爆撃機や戦闘機などが、シンガポール....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
をなすりて逸物を撫廻し撫廻し、ほうほうの体にて遁出しつ。走り去ること一町ばかり、俄然留り振返り、蓮池を一つ隔てたる、燈火の影を屹と見し、眼の色はただならで、怨毒....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
真黒な布の一張、筵の上へ、ふわりと投げて颯と拡げた。 と見て、知りつつ松崎は、俄然として雲が湧いたか、とぎょっとした、――電車はあっても――本郷から遠路を掛け....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
ある、その時と同一容体にて、目まじろぎもせで、死せるがごとき時彦の顔を瞻りしが、俄然、崩折れて、ぶるぶると身震いして、飛着くごとく良人に縋りて、血を吐く一声夜陰....
雪霊続記」より 著者:泉鏡花
まれますようで、且つ白羽二重の裏に薄萌黄がすッと透るようでした。 ウオオオオ!俄然として耳を噛んだのは、凄く可恐い、且つ力ある犬の声でありました。 ウオオオ....
あの世から便りをする話」より 著者:海野十三
が、前後六十回も通ってインチキたることが判らなかったのは何故であるかというので、俄然私は大なる疑問に打突かったんです。同時に又インチキであるが故に、当初これは未....
取舵」より 著者:泉鏡花
合せたる。 まさにこの時、衝と舳の方に顕れたる船長は、矗立して水先を打瞶りぬ。俄然汽笛の声は死黙を劈きて轟けり。万事休す! と乗客は割るるがごとくに響動きぬ。....
明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
となり、狭隘《きょうあい》なる愛国心よりたちまち目醒めて、世界的の広大なる精神が俄然発達し、ある者は特に社会問題に深大なる注意を払うようになってきたのである。そ....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
。 五月二十一日(日曜)、雨。午前六時、未明解纜。港外に出ずるに及び、一鯨波の俄然押し寄せ来たり、食堂の横窓に打ち込み、十余人の貴女、紳士、朝餐最中に頭上より....