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「俎板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

俎板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:岡本かの子
親の福ずしの亭主は、いつかこの客の潔癖な性分であることを覚え、湊が来ると無意識に俎板や塗盤の上へしきりに布巾をかけながら云う。 「じゃ、それを握って貰おう」 「....
婦系図」より 著者:泉鏡花
、江戸に在るものかね。」 「だって、ねえ、めのさん。」 とお源は袖を擦抜けて、俎板の前へ蹲む。 「それじゃ御新造かね。」 「そんなお銭はありやしないわ。」 「....
食魔」より 著者:岡本かの子
ようである。その蔬菜が姉娘のお千代の手で水洗いされ笊で水を切って部屋のまん中の台俎板の上に置かれた。 素人の家にしては道具万端整っている料理部屋である。ただ少....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
斬ってもやるわッ。もそっとこっちへ出ろッ」 「べらぼうめ、出なくたって斬れらあ!俎板代りにちゃんと花道を背負っているんだ。斬ってみろ!」 「何ッ。な、な、何だと....
」より 著者:島崎藤村
ずらしく家を出た。お仙は母に言付けられた総菜の仕度をしようとして、台所の板の間に俎板を控えて、夕顔の皮を剥いた。干瓢に造っても可い程の青い大きなのが最早裏の畠に....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
、十匹ぐらいずつ食膳に供する。何ともいえない雅味のある小皿ものであった。 また俎板に残った臓腑は白子、真子を一々串の尖端で選り分けて塩辛に漬ける。これが又非常....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
の風俗を一書にたずねて詳にしたには、つぶし島田に前髪へ四本、後へ一本の簪をさし、俎板形の大きやかな櫛をさして飛白帷子に襦袢、帯は一つ結びにして扇は後ろに挟み、塗....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、枕、火鉢、炬燵櫓の形など左右、二列びに、不揃いに、沢庵の樽もあり、石臼もあり、俎板あり、灯のない行燈も三ツ四ツ、あたかも人のない道具市。 しかもその火鉢とい....
黒百合」より 著者:泉鏡花
から一筋道を、順繰に帰って来るので、それから一時騒がしい。水を汲む、胡瓜を刻む。俎板とんとん庖丁チョキチョキ、出放題な、生欠伸をして大歎息を発する。翌日の天気の....
魚妖」より 著者:岡本綺堂
て裂いてくれ。」 かれは血の滴る手をかかえて引っ込んだので、吉次郎は入れ代って俎板にむかって、いつもの通りに裂こうとすると、その鰻は蛇のようにかれの手へきりき....
多神教」より 著者:泉鏡花
はい、はい。 禰宜 ああ、いやいや、さような斟酌には決して及ばぬ。料理|方が摺鉢俎板を引くりかえしたとは違うでの、催ものの楽屋はまた一興じゃよ。時に日もかげって....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ともいいます。鮒は近在で捕れるのでしょう、大きな桶に一杯入れたのが重ねてあって、俎板を前に、若い男がいつも串刺に忙しそうです。 野菜市場のしにせに美しい娘があ....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
あるのにかかわらずなお手首をボタンでとめるようになっているシャツを着、平べったい俎板のような下駄を穿き、他の東京仕込みの人々に比べあまり田舎者の尊敬に値せぬよう....
『鉢の子』から『其中庵』まで」より 著者:種田山頭火
ぜんとしてやってきたのである。 或る家の裏座敷に取り敢えず落ちついた。鍋、釜、俎板、庖丁、米、炭、等々と自炊の道具が備えられた。 二人でその家を見分に出かけ....
お米の話」より 著者:北大路魯山人
料理屋がそうだから、料理人はみなそうである。料理長というものは板前といって、俎板の前に坐って刺身ばかり作っている。本当の料理人ならば、仮に自分で飯を炊かなく....