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「俗世〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

俗世の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
親子」より 著者:有島武郎
しつけが悪かったとでもいうのか、生まれつきなのか、お前の今言った理想屋で、てんで俗世間のことには無頓着だからな。たとえばお前が世過ぎのできるだけの仕事にありつい....
連環記」より 著者:幸田露伴
るようになったので、予ての心願に任せて至極安穏に、時至って瓜が蔕から離れるが如く俗世界からコロリと滑り出して後生願い一方の人となったのであろう。保胤の妻及び子は....
ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
全然|葬られてしまうことになる、諸君は学生の分を知らなければならん、学生は決して俗世界のことに指を染めてはならん、ただ、私は諸君にいう、ジョン・ブライトは『正し....
肝臓先生」より 著者:坂口安吾
ものが一しょになって、とにかく調和しているのである。温泉町では名士だの富豪だのと俗世の評価を後生大事に大さわぎをするが、漁師町では人間族があるだけのことだ。温泉....
青春論」より 著者:坂口安吾
るで思想とか人生観というものにまで、この両者が全然異質であるかのような説をなす。俗世間のみの考えでなく、平野君ごとき思索家に於ても、尚、かような説を当然として怪....
三十歳」より 著者:坂口安吾
、人は私を流行作家というけれども、流行作家という事実が私に与えるものは、そこには俗世の勝利感すら実在しないということであった。 人間の慾は常に無い物ねだりであ....
我が人生観」より 著者:坂口安吾
あるまい。大いに現世の俗情をあらわにして、憎み憎まれる文士の商法も亦可であろう。俗世の人情で小説を書くのも持って生れた才能で、人生は品数の多いのを幸とすべきだろ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
として命ぜられた献金を調達することができなかったという事実があるにしても、決して俗世の俗事をそのまま述べたてて告発の理由とするようなことは致しません。誰を告発す....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
るところは全くなかった。なんと挨拶の仕様もない困った気持であるが、左近はそういう俗世の小事には全く無関心の様子で、その冷さは人情の世界に住みなれている志道軒のハ....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
知らせた後に、鎮められてから、ちょうど十二年たったに過ぎなかった。それとは違って俗世界の出来事であるが、ただの音信が、つい先頃、アメリカにおける英国臣民の会議か....
「草紙洗」を描いて」より 著者:上村松園
れた夢幻の境地であり、また現実の境地でもあります。騒音雑然、人事百端とも申すべき俗世界の世の中から、足一たびこの能楽の境域にはいりますと、そこには幽雅な楽器が、....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
看取すると、天性の覇気が脱線して桁を外れた変態生活に横流した。椿岳の生活の理想は俗世間に凱歌を挙げて豪奢に傲る乎、でなければ俗世間に拗ねて愚弄する乎、二つの路の....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
とされると同時に、それにむすびついた革命が、同様の完成度と同様の深達度をもって、俗世の生活にも、権力の座の組織のなかにも起こった。幾世代かにわたってこの世を支配....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
の鳴るなかで賢者スペンサー翁をとぶらったのである。) 一生不。 (一生|娶らず、俗世間の縁を避け、心血を結集して五大編を書きあげた。骨は倫敦郊北の地に埋葬されて....
五重塔」より 著者:幸田露伴
ぎ、五尺の身体こそ犬鳴き鶏歌い権兵衛が家に吉慶あれば木工右衛門がところに悲哀ある俗世に在りもすれ、精神は紛たる因縁に奪られで必死とばかり勤め励めば、前の夜源太に....