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俗世間
「俗世間〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
俗世間の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「八十八夜」より 著者:太宰治
も欠けて、どうしても四十歳以上のひとのように見える。妻と子のために、また多少は、
俗世間への見栄《みえ》のために、何もわからぬながら、ただ懸命に書いて、お金をもら....
「黄村先生言行録」より 著者:太宰治
はかくの如きかと、あなた、こなた、夢に夢みるような思いにてさまよい歩き、ほとんど
俗世間に在るを忘却いたし(親子どんぶり、親子どんぶり)ふと眼前にあらわれたるは、....
「竹青」より 著者:太宰治
す。学問も結構ですが、やたらに脱俗を衒うのは卑怯です。もっと、むきになって、この
俗世間を愛惜し、愁殺し、一生そこに没頭してみて下さい。神は、そのような人間の姿を....
「親子」より 著者:有島武郎
しつけが悪かったとでもいうのか、生まれつきなのか、お前の今言った理想屋で、てんで
俗世間のことには無頓着だからな。たとえばお前が世過ぎのできるだけの仕事にありつい....
「きりぎりす」より 著者:太宰治
に嘲笑せられて、けれども平気で誰にも頭を下げず、たまには好きなお酒を飲んで一生、
俗世間に汚されずに過して行くお方だとばかり思って居りました。私は、ばかだったので....
「伸子」より 著者:宮本百合子
生活を営もうと云うのは、事実容易ならんことです。御当人はしっかりしておられても、
俗世間というものはうるさいものでしてね……御熟考なさるが肝要です。さいわい、立派....
「今日の文学の鳥瞰図」より 著者:宮本百合子
なかつ日常的な恋愛の推移の過程を、些かは感傷ぬきに雄々しく描こうとする努力、又は
俗世間の利害の焦点の推移によって権力も推移する浮世の姿を描くという試みの限度に置....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
のことを指すのだ)、ここからは風刺文学の必要などは起きない。ただの道徳上の反逆は
俗世間の評判を悪くする位が精々で、文学者の身にはあまり応えるものではないから、反....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でございます、これを切り崩して、後日の埋め合わせはどう致すつもりでございますか。
俗世間でも、家相方位のことをやかましく申しますのは、一つは、この自然さながらの形....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
やもすればウェルテリズムの阿片に酔う危険のあったその頃のわれわれ青年の眼を現実の
俗世間に向けさせる効果があったかもしれない。十八歳の夏休みに東京へ遊びに来て尾張....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
、地上に立てられた教会を通るよりほかには道がありません。それゆえこの意味における
俗世間的地口は不可能で、かつあるまじきことです。教会は真に王国であり、王国たるべ....
「青春論」より 著者:坂口安吾
るで思想とか人生観というものにまで、この両者が全然異質であるかのような説をなす。
俗世間のみの考えでなく、平野君ごとき思索家に於ても、尚、かような説を当然として怪....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
看取すると、天性の覇気が脱線して桁を外れた変態生活に横流した。椿岳の生活の理想は
俗世間に凱歌を挙げて豪奢に傲る乎、でなければ
俗世間に拗ねて愚弄する乎、二つの路の....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
は未亡人で、心の落ちついたときには、なんとか気を変えようと試みる。息子の心をも、
俗世間から引き離してやろうと試みる。「ほんとに悲しいことです」と彼女はアントニイ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
の鳴るなかで賢者スペンサー翁をとぶらったのである。) 一生不。 (一生|娶らず、
俗世間の縁を避け、心血を結集して五大編を書きあげた。骨は倫敦郊北の地に埋葬されて....