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俗塵
「俗塵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
俗塵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
の住居《すまい》のある所は、巨鹿城《ころくじょう》に近い廓町《くるわまち》の最も
俗塵に遠い一区劃だった。殊に私の起臥《きが》していた書院造りの八畳は、日当りこそ....
「竹青」より 著者:太宰治
一向に敬せられなかったが、格別それを気にするふうも無く、極めて平凡な一田夫として
俗塵に埋もれた。 自註。これは、創作である。支那のひとたちに読んでもらいたくて書いた。漢訳せられる筈である。....
「文芸時評」より 著者:宮本百合子
れるのである。「札入」の作者は「万暦赤絵」がその経済的知的貴族性から持っていない
俗塵、世塵を正面から引かぶろうと構えているらしい。しかし、作者は自身の気構えのつ....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
中心とせる、一落の山廓あり。戸数は三十有余にて、住民|殆ど四五十なるが、いずれも
俗塵を厭いて遯世したるが集りて、悠々閑日月を送るなり。 されば夜となく、昼とな....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
とは結構な身分だな」
「ナニ、あまり結構でもございません」
「いや、結構だ。遠く
俗塵《ぞくじん》を離れて天然の妙致《みょうち》に心気を洗う。その心がけがたのもし....
「梅花の気品」より 著者:豊島与志雄
仄かに織り込まれて、捉え難く触れ難く、ただ脈々と漂ってる、一種独特の梅花の香は、
俗塵を絶した気品の香である。その香を感じてその花を求むるは、俗であり愚である。花....
「高千穂に思う」より 著者:豊島与志雄
蛾が、苔むした樹幹にとまっていて、怪しい幻覚を起させる。 この山道の感銘には、
俗塵を脱した清浄さ以上のものがあり、深い奥行がある。 東京の街路の中のロータリ....
「北支点描」より 著者:豊島与志雄
そして屈曲して、両側には蘆荻が生い茂っている。画舫に身を托してこの水路を進めば、
俗塵は剥落して詩趣が湧く。 一般に支那の都市にある湖水は、底浅く薄濁りであるが....
「魔像」より 著者:林不忘
然と歩いて来る。山野に遊んで四方《よも》の景色を賞美していると言ったような、妙に
俗塵離《ぞくじんばな》れのした恰好だ。背がすらりと高いので、年賀の礼装がこの人に....
「宝塚生い立ちの記」より 著者:小林一三
が、しかし宝塚新温泉の経営開始後間もなく、その方針は一変されて、箕面公園はこれを
俗塵の境として、その自然美をそこなうよりは、むしろ煤煙の都に住む大阪の人々のため....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
者と名づく。あるいは真の隠者にあらざるも、世間の付合いを好まずして一家に閉居し、
俗塵を避くるなどとて得意の色をなす者なきにあらず。この輩の意を察するに、必ずしも....
「あゝ二十年」より 著者:上村松園
気も侵して来ませんから、画室内は清浄を保つことができます。 こうして私は、外の
俗塵とは絶縁して、毎日朝から夕景まで、専心専念、御下命画の筆を執りました。画室内....
「円朝花火」より 著者:正岡容
っさい出ないから」 と、当時、新宿北町に結んだ草庵円通堂に閉じこもり、禅三昧に
俗塵《ぞくじん》を避けた。 わずかに、翌二十五年九月、大阪浪花座へ一枚看板で乗....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
上に腰を掛け我を忘れてつくづくと眺めて居った。その時の愉快は今思い出しても心中の
俗塵を洗い去るの感がございます。けれども非常な降雨で御飯を喫べる所もないという訳....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
かえれば青い山が衝立のごとく雲をつき上げるように立ち、見渡すかぎりの風景は旅客の
俗塵を洗うかと思われるほど美しい。) 物品を販売する小舟来たりて本船を囲繞す。....