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俗悪
「俗悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
俗悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
の中の肖像も愚鈍《ぐどん》の相《そう》は帯びているにもせよ、ふだん思っていたほど
俗悪ではない。裏も、――品《ひん》の好《い》い緑に茶を配した裏は表よりも一層見事....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
へ出るために、暇《いとま》を告げて帰った時には、私は思わず立ち上って、部屋の中の
俗悪な空気を新たにしたい一心から、川に向った仏蘭西窓《フランスまど》を一ぱいに大....
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
はない誤謬《ごびゅう》であった。思えばこの暇つぶしと云い生活のためと云う、世間の
俗悪な解釈のために、我毛利先生はどんなにか苦しんだ事であろう。元よりそう云う苦し....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
たか!
二 書生の恥じるのを欣《よろこ》んだ同船の客の喝采《かっさい》は如何に
俗悪を極めていたか!
三 益軒の知らぬ新時代の精神は年少の書生の放論の中にも如....
「或る女」より 著者:有島武郎
車場に近づいた汽車はだんだんと歩度をゆるめていた。田圃《たんぼ》のここかしこに、
俗悪な色で塗り立てた大きな広告看板が連ねて建ててあった。葉子は袖《そで》を顔から....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
夜も気になったし、素姓をかぎつけたのを好餌にして釣ろうという春隆のワナは月並みで
俗悪だったから、余りに見えすいてもいた。 ところが、わざわざそのワナの中へ飛び....
「橡の花」より 著者:梶井基次郎
か。――私の一人相撲はそれとの対照で段々神経的な弱さを露《あら》わして来ました。
俗悪に対してひどい反感を抱くのは私の久しい間の癖でした。そしてそれは何時《いつ》....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
傍へ来ていた。 毒々しい色の電燈がごたごたとついている新世界の外れだった。 「
俗悪やわ。引き返しましょう」 そして彼女自身もひどく散文的な気持になってしまっ....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
の天空は、富と権力を得んと争う莫大な努力によって全く粉砕せられている。世は利己、
俗悪の闇に迷っている。知識は心にやましいことをして得られ、仁は実利のために行なわ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
いが、今と昔とはほとんど比較にならないほどに華やかになった。勿論、一歩あやまって
俗悪に陥ったような点もみえるが、いずれにしても賑やかになったのは素晴らしいもので....
「海」より 著者:梶井基次郎
言えば君の顔は僕が毎晩夢のなかで大声をあげて追払うえびす三郎に似ている。そういう
俗悪な精神になるのは止し給え。 僕の思っている海はそんな海じゃないんだ。そんな....
「土俗玩具の話」より 著者:淡島寒月
的人形や、玩具に対しても保護を加えて存続させたいものである。近来|市井に見かける
俗悪な色彩のペンキ塗のブリキ製玩具の如きは、幼年教育の上からいうも害あって益なか....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
て者は、私の作品がどの新聞、雑誌を見ても、げす、悪達者、下品、職人根性、町人魂、
俗悪、エロ、発疹チブス、害毒、人間冒涜、軽佻浮薄などという忌まわしい言葉で罵倒さ....
「『小さな草と太陽』序」より 著者:小川未明
った。なんで、人間は、大きくなって、この心を有しないのか。そして、旧習慣、常套、
俗悪なる形式作法に囚われなければならぬのか。 塵埃に塗れた、草や、木が、風雨を....
「食器は料理のきもの」より 著者:北大路魯山人
、死にもする。気の利いた人がやると、気の利いた線が庖丁の跡に現われ、俗物がやると
俗悪な線が残る。これは単に、刺身庖丁が切れるとか切れないとかいうことでもなければ....