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「俗界〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

俗界の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
づいて殺人が行われた。 とまた放火が行われた。 神聖なるものが汚辱に返ると、俗界以上に穢わしくなる。まさにそれが富士教団へやって来ようとしているのであった。....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
断絶、罪ある者とてもひとたびあれなる総門より寺内に入らば、いかなる俗法、いかなる俗界の掟を以てしても、再び追うことならぬ慈悲の精舎じゃ。衆生済度を旨と致すわれら....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
飾るも、また黄金の力たり。堂塔の新築改造には、勧進、奉化、奉加とて、浄財の寄進を俗界に求むれども、実は強請に異ならず。その堂内に通夜する輩も風俗壊乱の媒たり。」....
パンドラの匣」より 著者:太宰治
頃なれど、あまり神経を使うというのか、深い深い事を考えないようにして下さい。私も俗界を離れます。きょうはいいお天気ですが、風が強いです。偉大なる自然! われ泣き....
連環記」より 著者:幸田露伴
仰がれ依らるるに至り、幾干歳も経ないで僧都になった。僧都だの僧正だのというのは、俗界から教界を整理する便宜上から出来たもので、本来から云えば、名誉でもなく、有る....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
於ける検証を、持つことは出来ない。物質的生産技術によって秩序づけられている現世の俗界ではテスト出来ない範疇が之だ。だから私は之を曾て非技術的範疇だとも云ったこと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
ませんね、弁信さん――の名が示すところによれば、男の方ですね、男もしかしどうやら俗界とは離れたような呼び名。なんにしても、まっ先に、あなたから呼びかけられる弁信....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
、 「一体、その必要もなきところへ、金儲けのための無用の工事を加えるというのは、俗界にあっても許すべからざることであるのに、身、僧侶にありながら、多年、その山の....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
す……ところの幽閑、これ大いなる師なりと古人も仰せになりました。出家のつとめは、俗界の人のために清い水を与えることでございます、清い水を与えるには、清いところに....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
仙人の事であろう。そこで、「山に御いでになった陛下はもはや仙人でいらせられるから俗界の私どもにはもはや御心の程は分かりかねます。一体その山裹と仰せられるのは何で....
保久呂天皇」より 著者:坂口安吾
かった。この上もない安らぎ、神の心と瞬時も離れがたかったからである。一歩でれば、俗界だ。この安らぎを失う。穴の中は天界だ。彼自身は天人であった。暗闇の穴がニジに....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ちは、まだ別室で神事をうけるに至っておらぬ。お前たちが、秘書の役に立たぬにせよ、俗界と神界のことは別の儀である。それすらも、わきまえておらぬ。不敬であるぞ」 ....
投手殺人事件」より 著者:坂口安吾
ントを与えてやろうと天壌無窮の慈善的精神によってフツカヨイだというのに、こういう俗界へ降臨してやったんだぞ。アン、コラ」 「すまん、すまん。フツカヨイの薬をベン....
ローマ法王と外交」より 著者:国枝史郎
教界粛清とに全力を尽し、その英雄の資を発揮して、諸事に大改革を加えた。その結果、俗界の王たるドイツ皇帝ヘンリー四世と衝突せざるを得ないことになった。正面衝突を惹....
五重塔」より 著者:幸田露伴
に寂静の慧剣を礪ぎ、四種の悉檀に済度の法音を響かせられたる七十有余の老和尚、骨は俗界の葷羶を避くるによって鶴のごとくに痩せ、眼は人世の紛紜に厭きて半ば睡れるがご....