俗臭[語句情報] »
俗臭
「俗臭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
俗臭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
》でも痛み出して来たのであろうか。いや、お君さんの心を支配しているのは、そう云う
俗臭を帯びた事件ではない。お君さんは浪子夫人のごとく、あるいはまた松井須磨子のご....
「草枕」より 著者:夏目漱石
額《ひたい》は狭苦《せまくる》しくも、こせついて、いわゆる富士額《ふじびたい》の
俗臭《ぞくしゅう》を帯びている。のみならず眉《まゆ》は両方から逼《せま》って、中....
「思案の敗北」より 著者:太宰治
に於ける神の子の無言の拝跪の姿である、とするならば、オーガスチンの懺悔録もまた、
俗臭ふんぷんということになるであろう。みな、だめである。ここに言葉の運命がある。....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
於て、真に詩的精神を有する者は、ひとりただ民衆あるのみだから、そのあらゆる稚気と
俗臭にかかわらず、民衆は常に健全であり、芸術の正しき道を理解している。彼等は指導....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
の始まるところ」にこの海港リスボンだった。 |今日は! その古趣と不潔と野蛮と
俗臭の小首府、神様と文明に忘れられたLISBOAが、こうおりぶ油くさい嗄れ声を発....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
さとが不思議に混和してる人物だった。ナタン夫人のうちには、ほんとうの親切と過度の
俗臭とが同じ割合に混ざり合っていた。二人ともアントアネットにたいして、騒々しい真....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
されている。それゆえ、又、世俗生活をそのまま宗教としても肯定する真宗の寺域が忽ち
俗臭芬々とするのも当然である。 然しながら、真宗の寺(京都の両本願寺)は、古来....
「火の扉」より 著者:岸田国士
ができぬこともないのである。 彼女は、ほかのどんな男と話をする時よりも、たとえ
俗臭ふんぷんたるところはあつても、夫を除いた軍人というものにむかつた時が、一番、....
「勧善懲悪」より 著者:織田作之助
達せられたわけだが、さて、お前は巨万の金をかかえてどうするかと見ていると、簡単に
俗臭紛々たる成金根性を発揮しだした。 上本町に豪壮な邸宅を構えて、一本一万三千....
「わが文学修業」より 著者:織田作之助
小説を書いて「海風」に発表したが、二つ目の「雨」というのがやや認められ、翌年の「
俗臭」が室生氏の推薦で芥川賞候補にあげられ、四作目の「放浪」は永井龍男氏の世話で....
「書について」より 著者:高村光太郎
のですらそうであるから、もともとそういう性来を持たない者の強引の書となると多くは
俗臭に堕する傾がある。意地ばかりで出来た字、神経ばかりで出来た字、或は又逆に無神....
「茶美生活」より 著者:北大路魯山人
にある種の卑俗茶と悪化し、風趣高かるべきせっかくのお茶事を、めちゃめちゃに歪め、
俗臭紛々、世の末を思わし、心ある者をして、嘆息せしめざるを得ないのである。かくの....
「ラスキンの言葉」より 著者:小川未明
、人生行路の輩でなかろうか。まさにその墓は、一寸の木標にて足れりとする。殺風景な
俗臭の抜けきらぬ、これ等の墓牌より、どれ程、行路病者のさゝやかな木標が、自然に近....
「ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
一般的に言えば、私も生活が好きです。けれどわれわれの生活、この田舎の、ロシアの、
俗臭ふんぷんたる生活は、とても我慢がならないし、心底から軽蔑せざるを得ませんね。....
「それから」より 著者:夏目漱石
これを成立させようと喘《あせ》る努力を、不自然であり、不合理であり、かつあまりに
俗臭を帯びたものと解釈した。 代助は固《もと》よりこんな哲理《フィロソフィー》....