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「俛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

俛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
いもんだね」 「駄目だよ。旦那《だんな》が気がないから」作《さく》と云うその男は俛《うつむ》いたまま答えた。「もう楮のなかから小判の出て来る気遣《きづかい》もな....
「梓川の上流」より 著者:小島烏水
れを冷たい眼で見て、いつか有《あ》らゆる生物が造化の大作《マスタアピース》の前に俛首《うなだれ》て来ることすら知らずにいる、知らるることいよいよ晩きは、彼らの偉....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
得ざるべきなり。憐《あわ》れむべし過度の馳※《ちぶ》に疲れ果てたる馬は、力なげに俛《た》れたる首を聯《なら》べて、策《う》てども走れども、足は重りて地を離れかね....
「運命」より 著者:幸田露伴
削奪罪責を免かれざらんとす。太祖の血を承けて、英雄傑特の気象あるもの、いずくんぞ俛首して寃に服するに忍びんや。瓜を投じて怒罵するの語、其中に機関ありと雖も、又｜....
「蒲団」より 著者:田山花袋
一時間後にはわざわざ迎いに遣った田中がこの室に来ていた。芳子もその傍に庇髪を俛れて談話を聞いていた。父親の眼に映じた田中は元より気に入った人物ではなかった。....
「縮図」より 著者:徳田秋声
かったが、均平も醜い争いはしたくなかった。 「どうしたんです。」 均平が黙って俛いているので、銀子はきいた。 「いや、均一が富士見へ行ってるそうで、己に逢いた....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
きあげたりして……でもあの人何だか変なところがあるの。」 葉子は顔を紅くして、俛むいていた。 「今度どこで逢うのさ。」 「どこか水のあるところがいいようなこと....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
って見て居ると、また一しきり烈しく北から吹きつくる吹雪の中を、黒い外套姿が少し前俛みになって、一足ぬきに歩いて行く。第一の石橋を渡る。やゝあって第二の石橋を渡る....
「小説　不如帰　」より 著者:徳冨蘆花
りゃ――後悔しますぞ」 電のごとき眼光を浪子の面に射つつ、千々岩は身を転じて、俛してそこらの草花を摘み集めぬ。 靴音高く、ステッキ打ち振りつつ坂を上り来し武....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
縦横に引っ掻き廻し、入り乱れて手を突き、肱を張っている。 私は幾度となく、首を俛れては、梢の下を潜った、枝は人を見ると、ひしひしと身を寄せかけて、しがみつきそ....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
てこれを天下の兵に擬《なぞら》えて、流石《さすが》の伊達政宗をして首《こうべ》を俛《ふ》して兎も角も豊臣秀吉の陣に参候するに至るだけの料簡《りょうけん》を定めし....
「二少女」より 著者:国木田独歩
赤坂の方から物案じそうに首をうなだれて来る。 薄闇い狭いぬけろじの車止の横木を俛って、彼方へ出ると、琴平社の中門の通りである。道幅二間ばかりの寂しい町で、（産....
「躯」より 著者:徳田秋声
ましたね。」 上さんは高い声で訊いた。 「忰ですかね。」爺さんは調子を少し落して俛いた。 「二十三でしたよ。」 「戦地でかね。」と主が訊ねた。 「何に、戦地じゃ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
籠を、お前どこから持って来たえ、拾ったのかえ、どこで拾ったの」 犬は神妙に首を俛《た》れております。 「これは並大抵《なみたいてい》の人の持つ品ではない、きっ....
「競漕」より 著者:久米正雄
だ思案最中なんですよ」と久野は快答を与えるのが惜しいような心持で言いながら、首を俛れてみた。「何しろ書きかけてるんだからなあ」 「一体いつごろまでに出来るんだい....