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保つ
「保つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
保つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「羅生門の後に」より 著者:芥川竜之介
い》は諸君の名によって――同人の一人の著作として覚束《おぼつか》ない存在を未来に
保つような事があるかも知れない。そうなれば、勿論《もちろん》自分は満足である。が....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
。彼はただ粟野さんの前に彼自身の威厳《いげん》を保ちたいのである。もっとも威厳を
保つ所以《ゆえん》は借りた金を返すよりほかに存在しないと云う訣《わけ》ではない。....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
は寒気と選ぶ所はない。適度に感ずる時は爽快《そうかい》であり、且《かつ》又健康を
保つ上には何びとにも絶対に必要である。
ユウトピア
完全なるユウトピ....
「星座」より 著者:有島武郎
もしれないのだ。清逸は慌《あわ》てて机の前に坐ってみたが、灯の寿命はもう五分とは
保つように見えなかった。芯をねじり上げてみた。と、光のない真黄色な灯がきゅうに大....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
た。
山の高さも谷の深さも底の知れない一軒家の婦人《おんな》の言葉とは思うたが
保つにむずかしい戒《かい》でもなし、私《わし》はただ頷《うなず》くばかり。
(は....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
りこの仕事を成り立たせるためには俳優に対して少なくとも形式的には自分自身を上位に
保つことが必要なのである。しかしただ漫然と形式上の優位性にあまえることは厳に戒め....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
かろうと思う。宝玉とてもその通り、手箱にこれを蔵すれば、宝玉そのものだけの価値を
保つ。人に与うる時、十倍の光を放つ。ただ、人に見せびらかす時、その艶は黒くなり、....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
み、と仰有るに、お住居下さればその部屋一ツだけも、屋根の草が無うなって、立腐れが
保つこんだで、こっちは願ったり、叶ったり、本家の旦那もさぞ喜びましょうが、尋常体....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
対する顧慮を失い、図らずも汝に苦痛を与えることになった。今度はつとめて心の平静を
保つよう注意を怠らぬであろう。 さるにても、戦慄すべきは戦争の惨禍である。戦争....
「映画の普及力とは」より 著者:伊丹万作
の標準が違つてくることは当然であるから、その意味では日本の家庭は昔ながらの清浄を
保つであろう。何よりも嬉しいことはその時代の病人たちの生活がずつと楽しくなること....
「雑文的雑文」より 著者:伊丹万作
を少々考えてみよう。 「めつたに感心するな」ということは、現代の紳士がその体面を
保つうえにおいて忘れてはならない緊要なる身だしなみの一つである。これは何もいまさ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
。アンデルソンの仕事は炉をいつも同じ温度に保ち、かつ灰の落ちる穴の水を同じ高さに
保つのであるが、夕方には仕舞って、何時も家に帰った。ところが、一度ファラデーは帰....
「茶の湯の手帳」より 著者:伊藤左千夫
たに相違ない、勿論それに伴う弊害もあったろうけれど、所謂侍なるものが品位を平時に
保つを得た、有力な方便たりしは疑を要せぬ、 今の社会問題攻究者等が、外国人に誇る....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
て、すッきりとした耳許を見せながら、顔を反向けて俯向いたが、そのまま身体の平均を
保つように、片足をうしろへ引いて、立直って、 「否、寝ていたんじゃなかったんです....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
潟から巻落されたに違いない。昼から今に到るまで、雲から落ちながらさえ、魚は生命を
保つ。そうしてこの水音をしたって、路の向うから千里百里の思をして、砂を分けて来た....