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倉皇
「倉皇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倉皇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
りこのどちらともつかない疑惑に悩まされながら、むしろその疑惑の晴れる事を恐れて、
倉皇《そうこう》と俥に身を隠した私自身の臆病な心もちが、腹立たしく思われてなりま....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
いるではないか?
オルガンティノは飛び上るが早いか、アビトの両腕を拡げながら、
倉皇《そうこう》とこの鳥を逐い出そうとした。が、二足三足《ふたあしみあし》踏み出....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
半ばに彼等の姿を見るが早いか、殆《ほとん》ど仇《かたき》にでも遇《あ》ったように
倉皇《そうこう》と僕にオペラ・グラスを渡した。
「あの女を見給え。あの艫《へさき....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
に糞器《ふんき》を背負《せお》った彼自身を羞《は》じ、万が一にも無礼のないように
倉皇《そうこう》と他《ほか》の路《みち》へ曲ってしまった。
しかし如来はその前....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
う》風の歌を作っていた。すると「おい」と云う父の声が、突然彼の耳を驚かした。彼は
倉皇《そうこう》と振り返る暇にも、ちょうどそこにあった辞書の下に、歌稿を隠す事を....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
》んで居た。
幕引きの少尉は命令通り、呆気《あっけ》にとられた役者たちの前へ、
倉皇《そうこう》とさっきの幕を引いた。同時に蓆敷の看客も、かすかなどよめきの声の....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
は二十八になった時、――まだ教師をしていた時に「チチニウイン」の電報を受けとり、
倉皇《そうこう》と鎌倉から東京へ向った。僕の父はインフルエンザの為に東京病院には....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
、けげんな顔をしている車夫の手へ、方外《ほうがい》な賃銭を渡す間も惜しいように、
倉皇《そうこう》と店先の暖簾《のれん》をくぐりました。
泰さんは新蔵の顔を見る....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
置いて日本へ去る親子の哀別の情を貫いて、もうあといくばくもない短い月日の流れの、
倉皇として過ぎ行くけはいを感じるのであった。 トロカデロ宮前を通り過ぎると、小....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
りと歩いてゆく、墓場への旅人に冥福の十字をきったのである。 ヤング卿はこうして
倉皇と逃げかえって、危く一命を完了した。なまじ進めば、北は瞬時に人を呑む危険な流....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
て、何時頃お帰りになったか訊いてよ。」と、叱りつけるような口調で命じた。女中は、
倉皇として下って行った。 知合いの医学博士の夫人が遊芸好きで、ちょうどいたいけ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
ようものなら、どんな大事が起ころうもしれぬ。早く手当をしなければならない」――で
倉皇として家へ帰った。 ようやくわかった切り髪の女 「旦那お家でござんす....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
を寄越すぞ! 大伴ノ御行、土間の外に立っている二人を突き飛ばさんばかりの勢いで、
倉皇として、左方へ逃げ去る。 造麻呂 (右手奥からよろめくように出て来る)大納言....
「春」より 著者:岡本かの子
して学生を見たが、突発的な衝動めいた羞恥心が、一種の苦悶症となって京子を襲った。
倉皇としてそむけた京子の横顔から血の気が退いて、顔面筋の痙攣が微かに現われた。椿....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
見なかった。 それも関心ではあるが、猶一方には気を失っているお杉が有る。市郎は
倉皇として内へ駈込んだ。塚田巡査も続いて入った。 お杉は南向の縁側に横えられた....