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個体
「個体〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
個体の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
だされるけれども、そのために草木の髄のなかでは、なにか細胞を異にしている、異様な
個体が成長しているのではないかとも考えられてくる。そして、一度憶えた甘味の舌触り....
「錯覚自我説」より 著者:辻潤
自我説とはなにか? 錯覚自我説とは人間の自我なる意識は万有者の持てる普遍意識で
個体に現われた
個体意識の錯覚だという説である。 一切の存在は万有生命の惰性の表....
「恋愛曲線」より 著者:小酒井不木
臓は身体を離れても独立に、拡張、収縮の二運動を繰り返すのだ。心臓を切り出せばその
個体は死ぬ、
個体は死んでも心臓は動き続ける! 何と不思議な現象ではないか。試みに....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
も目立つ色彩をしていながら無事に敵の襲撃を免れて生き遺ることのできるような優秀な
個体のみが自然淘汰の篩にかけられて選り残され、そうしてその特徴をだんだんに発達さ....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
どこかの工場のである事が人夫の話から判断された。工業が衰えたわけでもないらしい。
個体が死んでも種が栄えれば国家は安泰である。
個体の死に付随する感傷的な哀詩などは....
「時事雑感」より 著者:寺田寅彦
リポくらげのような群生体で、半分死んでも半分は生きていられた。今の日本は有機的の
個体である。三分の一死んでも全体が死ぬであろう。 この恐ろしい強敵に備える軍備....
「天災と国防」より 著者:寺田寅彦
となりうる恐れがあるようになったということである。 単細胞動物のようなものでは
個体を切断しても、各片が平気で生命を持続することができるし、もう少し高等なもので....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
であり、写しである。この世界にあっては時間と空間という着物を着て万物は千差万別、
個体として鬩ぎ合ってる。しかし根拠の原理を離れた世界、すなわち本体界にあって、万....
「変った話」より 著者:寺田寅彦
、これはアインシュタインの宇宙を指しているようで面白い。また「無有入於無間」を「
個体性のないものは連続的物質中に侵入する」と訳しているが、これは、何となく古典物....
「ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
う着想を好んで考えるようになっていた。私はこう思った。もしその各々の要素を別々の
個体に宿らせることさえできたなら、人生はあらゆる耐えられないものから救われるであ....
「地震雑感」より 著者:寺田寅彦
態にあるものと想像される。しかし第一に震源なるものがそれほど明確な単独性をもった
個体と考えてよいか悪いかさえも疑いがある、のみならず、たとえいわゆる震源が四元幾....
「「ファン」について」より 著者:伊丹万作
一人、ここに一人と指して数えられるものは私の目標ではない。 すなわち私の目標は
個体としての人間ではなく、全体としての人間性である。 だから私は直接に限られた....
「新らしき文学」より 著者:坂口安吾
争的な点に於て一つの意義と役割をもつが、人間を安易に仮定し、文学の唯一の領域たる
個体を、血と肉に縁のない概念の中へ拉し去り曖昧化し、科学への御用的役割を務めるの....
「「マリー・ロオジェ事件」の研究」より 著者:小酒井不木
、探偵小説を書くためには、溺死体が水に浮ぶか否かの議論もしなければならぬし、又、
個体鑑別論も書かなければならない。実際あの小説の三分の一を占める明快な
個体鑑別論....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
んで、少しの私心を交えず竿を操ったから鮎が掛かったのである。いわばお前と父とは、
個体こそ違え、釣りの意と技に伝える人格が一致したのだ。たとえば、父が自ら釣ったの....