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倔強
「倔強〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倔強の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
こは、人獣ともに害さぬ仏典どおりの世界でしょう。それこそ、つらい現実からのがれる
倔強《くっきょう》な場所です。私は……そうして理想郷を見つけました」
「では、無....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
けが一際《ひときわ》目立って見えるようになった。年はまだ三十にはなるまい。体格は
倔強《くっきょう》である。眉毛《まみえ》と鼻の根と落ち合う所が、一段奥へ引っ込ん....
「明暗」より 著者:夏目漱石
な若ものに声をかけた。
「ねえ君。そうだろう」
出し抜けに呼びかけられた若者は
倔強《くっきょう》な頸筋《くびすじ》を曲げてちょっとこっちを見た。すると小林はす....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
へ出た。同時に主人がぬすっとうと怒鳴る声が聞える、見ると制帽をつけた十八九になる
倔強《くっきょう》な奴が一人、四ツ目垣を向うへ乗り越えつつある。やあ遅かったと思....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
家へ還って往った。新家は博徒|破落戸の遊び所になった。博徒の親分は、人目を忍ぶに
倔強な此家を己が不断の住家にした。眼のぎろりとした、胡麻塩髯の短い、二度も監獄の....
「連環記」より 著者:幸田露伴
の方では、明らかに自分が推戻されてたじたじとなったのを感じた。けれども匡衡も鳶肩
倔強の男児だ、斯様なると話が学問がかったところで推出されじまいになるのには堪えら....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
見したのは全乗組員であったのです。シルヴァーと小生と二人で数日の中にこの上なしの
倔強な老練な水夫の一団を集めたのです。――見た目はよくはないが、その面付から察す....
「穴」より 著者:蘭郁二郎
んだ霧雨の雫をヒヤリと感じて顔を見合せました。丁度いまもその話が出たばかりですし
倔強な工夫たちもさっと顔が蒼白らんでしまいました。しばらくしてからやっと皆んなで....
「藤九郎の島」より 著者:久生十蘭
《ふなこ》は、破船を見捨て、十町も沖から島に泳ぎ着いたというだけあって、いずれも
倔強《くっきょう》な連中ばかりであった。そのなかに久七という鍛冶《かじ》の心得の....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
は五六階の石段を上って上陸したが、木の間隠れになっていて、品物を運び出すには実に
倔強の場所であった。 『オイ別荘に人が居るようじゃないか、見ろ、あれを……灯火が....
「妖怪報告」より 著者:井上円了
客の身となる。ほしいままに帰省なしがたきをもって、某官衙に生が病気届けを上呈し、
倔強の車夫を呼び腕車に乗じ、ただちに旅亭を辞し、時刻を移さずして帰省し、父の病を....
「寒中滞岳記」より 著者:野中至
るものの如し、折節図らずも山麓有志者の、寒中数回登山を企て、しかも一行数人の内、
倔強《くっきょう》なるもの僅かに二人のみ万艱《ばんかん》を排して始めてその目的を....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
側に顕れる。滝の縁に沿うて静に登っていた長次郎は、之を見ると直に其斜面に移った、
倔強な彼にもこの斜面を攀じ登るのは容易ではないらしかった。三窓で僅か許りの記載を....