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倚る
「倚る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倚るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虞美人草」より 著者:夏目漱石
「父は死んでいる。しかし活《い》きた母よりもたしかだよ。たしかだよ」 椅子に
倚る人の顔は、この言葉と共に、自《おのず》からまた画像の方に向った。向ったなりし....
「薤露行」より 著者:夏目漱石
どき声にあらず。去りとては憐《あわれ》を寄せたりとも見えず。 アーサーは椅子に
倚る身を半ば回《めぐ》らしていう。「御身とわれと始めて逢える昔を知るか。丈《じょ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
めるに当って、先ず坐り心地のいい一脚の椅子を得たように思う。私の仕事はこの椅子に
倚ることによって最もよく取り運ばれるにちがいないのを得心する。私はこれからでも無....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
通いの塩の俵をつけた荷馬の群れに追いついた。 その辺まで行くと、かなたの山腹に
倚るこんもりとした杉の木立ちの光景が勝重の目の前にひらけて来る。万福寺はそこに隠....
「渋江抽斎」より 著者:森鴎外
えようとして、五百に説いた。しかしそれは五百を識らぬのであった。五百は人の廡下に
倚ることを甘んずる女ではなかった。渋江一家の生計は縮小しなくてはならぬこと勿論で....
「窓」より 著者:鷹野つぎ
られてお嬉しかったでしょうと云ってくれた。私も思わず微笑をかえした。が血肉にあい
倚る者の思いはなまやさしいものではなかった。小谷さんは一年も二年も見舞いもうけな....
「連環記」より 著者:幸田露伴
い無く、宋史の伝は之を貶するに過ぎている嫌がある。道仏の教が世に出てから、道仏に
倚るの人は、歴史には大抵善正でない人にされていると解するのが当る。丁謂が寂照と知....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
る力あることを感じて、愕然とした。同時に今までは、お雪を救うために造られた、巌に
倚る一個白面、朱唇、年少、美貌の神将であるごとく見えたのが、たちまち清く麗しき娘....
「東上記」より 著者:寺田寅彦
八月二十六日床を出でて先ず欄干に
倚る。空よく晴れて朝風やゝ肌寒く露の小萩のみだれを吹いて葉鶏頭の色鮮やかに穂先お....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ら座敷へ通ると、ここは新しくて綺麗であった。そこへはいって、わたしは肘かけ椅子に
倚ると、Fは蝋燭立てをテーブルの上に置いた。わたしにドアをしめろと言いつけられて....
「映画と民族性」より 著者:伊丹万作
垣とはすなわち風俗、習慣、言語の隔てを意味する。 我がたたみに坐し、彼が椅子に
倚るのは風俗習慣の差であつて、それがただちに文化の高低を意味するものではない。 ....
「わが童心」より 著者:佐藤垢石
。厳冬が訪れても、かつて険相に墮したことがない。 子持山と、小野子山の東西相|
倚る樽の奥遠く、頭の白い二つの山が顔を出している。右が茂倉岳、左が谷川岳である。....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
五郎君にこの事を話すと、彼もまた同じ傾向を持って居るとの事でそれ以後二人は互に相
倚るようになった。それから河東君は同郷の先輩で文学に志しつつある人に正岡子規なる....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
こうして、どんな気持ち」と言いました。すると僧は、顔色一つ動かさず、「枯木寒巌に
倚る、三冬暖気無し」と言い放ちました。「まるで枯木が冷え切った岩に倚りかかったよ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ーム、思い当るぞ」 と、誰かうなる。 ……父母年|高けて 気老い、力衰えぬれば
倚る所の者はただ子のみ 頼む所の者はただ婦のみ しかるに朝より暮まで 未だ敢えて....