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借手
「借手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
借手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
いで》なせえ、何《なん》です長屋なら一番奥の方が一軒明いている、彼所《あすこ》は
借手《かりて》がねえようだが、それから四軒目の家《うち》が明いているが、些《ちっ....
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
くなるので、どこかいつもより静かな処にいて勉強したいと思った。さいわい向島の家が
借手がなくて明いている。そこへ書物を持って這入《はい》る。お母様が二三日来ていて....
「道草」より 著者:夏目漱石
己《おれ》が借りて遣《や》らなくってもどうにかなるんだろうから」 「ええ、そりゃ
借手はいくらでもあるんでしょう。現にもう一口ばかり貸したんですって。彼所《あすこ....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
を建てて、ぜんたいだれが借りるだろうなどとよけいなことまで言う。ついには、いまに
借手がなくなってきっと家賃を下げるに違いないから、その時もう一ぺん談判してぜひ借....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
に近い藤棚のついた二間打ち抜きの部屋と一番|端れの神楽堂のような建て前の棟はもう
借手がついていた。真中の極普通な割り合いに上品な一棟が、まだあいていたのを葉子達....
「一つの出来事」より 著者:宮本百合子
一つの境でも無断で出入りする者はない。習慣、非習慣は第二の問題として、下の女が、
借手《かりて》を少しでも魅する材料として、全然下とは没交渉な私の部屋まで勝手に自....
「書けない探偵小説」より 著者:夢野久作
ンナ探偵小説が書きたい。 美人を絞殺して空屋の天井に吊しておく。 その空屋の
借手がないために、屍体がいつまでもいつまでも発見されないでいる。 タマラなくな....
「都会地図の膨脹」より 著者:佐左木俊郎
処が、耕作のために年十五円で貸していたその土地を、坪当り月五銭で借り度いと云う
借手が出て来た。住宅地にするのである。十五円の貸地代は、一躍八十円にまで飛んだ。....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ベルが鳴りました。寿。長者町に、やっと永住出来そうな家がありそうになったら、別の
借手が現れて怪しくなったので、九段の家主まで来た由です。お米が足りなくてキャベジ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
やりと見えた。 お銀のとなりの家は今も空き家になっている。おととしの暮れに一旦
借手が出来たが、その人はどうも陰気でいけないとかいって、去年の六月に立ち去ってし....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
こでその盆をほしがっているうち、病気が進んでなくなられた。癆咳娘の住居した寮だ、
借手がないという所で、今日までも空家なのさ。……ということにするがいいさ。ごらん....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
んやりと見えた。 お銀のとなりの家は今も空家になっている。おととしの暮れに一旦
借手が出来たが、その人はどうも陰気でいけないとかいって、去年の六月に立去ってしま....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
大家さん、えらい騒ぎが起りますぜ」
「手向いでもしなさるかのう――困った。当分、
借手が無くならあ。あの血ってやつは、なかなか、落ちないもんでのう」
南玉は、そ....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
れい》に片づいていて、障子や襖紙《ふすまがみ》の破れも残らず張ってあるなど、もし
借手さえあればここも貸間にするのかとも思われるくらいである。床《とこ》の間《ま》....
「三階の家」より 著者:室生犀星
屋を兼ねた店につづいて、造花屋があり、その隣は八百屋であった。二階は全部|何時も
借手がなく、雨戸は閉されがちであった。時たま、造花屋で大物の造花を拵える時に雨戸....