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借着
「借着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
借着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
勿論《もちろん》道念にも依《よ》ったのであろう。が、彼を誘惑した女人は啓吉の妻の
借着をしている。もし
借着をしていなかったとすれば、啓吉もさほど楽々とは誘惑の外に....
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
します」 と云うのが耳に入ると、友之助は怒《おこ》ったの怒らないのじゃアない、
借着の※袍《どてら》の姿《なり》で突然《いきなり》唐紙《からかみ》を明けて座敷へ....
「放浪」より 著者:織田作之助
酒ものんだからだった。かねがね蛔虫を湧かしていたのである。便所に立とうとすると、
借着の紋附の裾が長すぎて、足にからまった。倒れて、そのまま、痛い痛いとのた打ちま....
「家」より 著者:島崎藤村
すで――今に吾家の前を御輿が通るから、そうしたら兄さん達と一緒に出て見よや」 「
借着をして祭を見るのも変なものですナア」 「何が変なものか。旅では、お前さん、そ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
に聞いていた。) お妻が、段を下りて、廊下へ来た。と、いまの身なりも、損料か、
借着らしい。 「さ、お待遠様。」 「難有い。」 「灰皿――灰落しらしいわね。……....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
昨日まで寝巻のまんまでいたけれども、ここへ来て、お寺の心尽しで、娘らしい一通りの
借着を着せてもらっているけれども、焼かれたのがほんの一重ねだけでもあれば……と思....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
駒井は軽装かいがいしく、一挺の鉄砲と弾薬を用意して出かけると、白雲は例の駒井から
借着の筒袖のつんつるてんで、そのあとについて行きます。 「駒井さん、僕はこういう....
「百姓弥之助の話」より 著者:中里介山
はそれ相当の紋付、羽織、袴《はかま》、女は幾代も幾代も相伝の白無垢《しろむく》を
借着をしたりなんぞして、それぞれ位牌を持ち線香立を持ち、白木のお膳などを持って棺....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
忘れもせぬ、廿一年紀元節の憲法発布式の日、私は大礼服がないので、――以前拝賀には
借着した事もあれど――不参をしていたが、右の大臣の講演筆記の潤色用を急がるるので....
「町内の二天才」より 著者:坂口安吾
るバカはいないよ」 「うるせえな。隣の源次をみろよ。紋付をこしらえたよ。結婚式も
借着の紋付ですました野郎が、新調の紋付をきて、商売を休んで、鼻たれ小僧の手をひい....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
、仕着せの縞物を嫌い、絣を自弁でつくったり、あるいは店服のルバシカを脱いで詰襟を
借着して学生風を装うものなどがあって、私どもは大いにその不見識を戒め、そんな心が....
「猫と杓子について」より 著者:織田作之助
人の着物を借りてまるで自分の着物のような顔をするということで、いいかえれば思想の
借着であります。人類はじまって以来、多くの天才は僕らが借りるべき多くの着物を残し....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
のついてるのが見えてね、刎橋が幾つも幾つも、まるで卯の花|縅の鎧の袖を、こう、」
借着の半纏の袂を引いて。 「裏返したように溝を前にして家の屋根より高く引上げてあ....
「チェーホフの短篇に就いて」より 著者:神西清
実この野心につよく惹かされていたことを物語っている。 だがチェーホフはこうした
借着的な形式に永く満足することは出来なかった。彼は独創した。それは先ず大胆に小説....
「放浪」より 著者:織田作之助
ものんだからだった。かね/″\蛔虫を湧かしていたのである。便所に立とうとすると、
借着の紋附の裾が長すぎて、足にからまった。倒れて、そのまゝ、痛い/\とのた打ちま....