値切る[語句情報] » 値切る

「値切る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

値切るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
人間失格」より 著者:太宰治
に、くらくら目まいして、世界が真暗になり、ほとんど半狂乱の気持になってしまって、値切るどころか、お釣を受け取るのを忘れるばかりでなく、買った品物を持ち帰るのを忘....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
髪切らない者、税金を出せという。公司、仲買人の持ってきた髪を、また六割か、五割に値切る。――仲買人、掛値を云うて持ってくる。私の親爺、昔の人、辮髪税、取られてい....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
莚、筍掘器、天秤棒を買って帰る者、草履の材料やつぎ切れにする襤褸を買う者、古靴を値切る者、古帽子、古洋燈、講談物の古本を冷かす者、稲荷鮨を頬張る者、玉乗の見世物....
超人鬚野博士」より 著者:夢野久作
当、足元を見る奴が居るので油断が成らないが、非道い奴になると吾輩を乞食扱いにして値切る奴が居る。 「オイ、鬚野先生。三十銭に負けとき給え、ドウセ無料で拾って来た....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
を購うにも決して価の高下を言わず、他のいうがままに買いとるのである。曰く、「価を値切るなんて、それじゃ自分の楽しみを値切るようなもんでさァ」 三ヶ日と七草 ....
少年探偵長」より 著者:海野十三
ましょう」 チャン老人は、自分のおどろきを隠すのに骨を折った。十五万円ぐらいに値切るかと思いの外、いい値の二十万円で買うというのだ。そんなことなら、もっと吹っ....
生爪を剥ぐ」より 著者:葉山嘉樹
では待たなければならない) 中村は「困るなあ、困るなあ」と呟きながら、品物でも値切るように、クドクドと吉田を口説いた。 吉田の老い衰えた母は、蝸牛《かたつむ....
丹下左膳」より 著者:林不忘
二里半四町、六十五|文《もん》!」 「五十|文《もん》に負けろっ!」 円タクを値切るようなことをいう。 「定《き》めですから、おウ、尾州《びしゅう》に因州《い....
青春論」より 著者:坂口安吾
だ。いのちの代償が計算外れの安値では信念に死んでも馬鹿な話で、人々は十銭の茄子を値切るのにヒステリイは起さないのに、いのちの取引に限ってヒステリイを起してわけも....
現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
ら。いくら命の瀬戸際だって、商魂を忘れちゃ実業家じゃないよ。息をひきとる瞬間まで値切ることを忘れないのが商人魂というものだよ。ダテにハゲ頭光らせて、みッともない....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
店の方が多かった。だから客の方では「言い値で買うのは馬鹿らしい」という考えを持ち値切るという事が買物常識の一つとなったのである。値切る客が多いから掛け値をする、....
九段」より 著者:坂口安吾
カーに転業して母親の旅館へせッせと物資を売りこんだ。ところが母親たるオカミサンが値切るだけ値切るので、全然商売にならないのである。息子は怖れをなして独立の商業を....
名古屋スケッチ」より 著者:小酒井不木
至つて少ない。名古屋人には、おつな食物が気に入るのだ。まさか、屋台店で、食べ物を値切る人間もないけれど、値切りかねないのが、名古屋人の腹なのである。 いや、広....
鴻ノ巣女房」より 著者:矢田津世子
っていた。ひね生姜一つ買うにも値切らずにはおかなかったからである。まったくぎんは値切ることにかけては名人だった。ちょいした瑕やあらを見付けては、国訛りのぼっそり....
つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
いるので、これを避けるため、少し歩きながら、通過《とおりすぎ》る円タクを呼止め、値切る上にも賃銭を値切り倒して、結局三十銭位で承知する車に乗るのである。その晩二....