» 値踏

「値踏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

値踏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
硝子張りのようにただ張って居る。瞳を一ミリと動かさずに通りすがりの男の消費価値を値踏みするこの種の女の何れもが持ち合して居る眼だ。 小さい靴の踵で馳ける音、そ....
木曽の旅人」より 著者:岡本綺堂
役人か、悪くいえば地方行商の薬売りか、まずそんなところであろうと重兵衛はひそかに値踏みをした。 こういう場合に、主人が旅人に対する質問は、昔からの紋切り形であ....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
ら、男を怨むほどの初心《うぶ》でもない、わからずやでもないと、お絹は自分で自分の値踏みをしていた。しかし、林之助が姿をみせないのはほかに理由《わけ》があるらしい....
三浦右衛門の最後」より 著者:菊池寛
したのが癒《い》えないので、今でも左の手を吊っている。彼は先刻から少年の腰の物の値踏みをしているのだ。それは黄金作りの素晴らしい品物である。彼は今まで二、三本の....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
りばめた、美しい異国風の簪であった。 慶正卿はとりあげたが、 「碩寿翁、これを値踏みしてごらん」 こう云って笑って簪を渡した。 と、碩寿翁は苦笑をしたが、....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
き。」 もう此所で己はつかえる。誰の助を借りて先へ進もう。 己には語をそれ程高く値踏することが出来ぬ。 なんとか別に訳せんではなるまい。 霊の正しい示を受けてい....
斜陽」より 著者:太宰治
ているのが、わかる筈だ。けれども、これは、所謂、非実用のガラクタ。番頭、五十銭と値踏みせり。 その他、パリ近郊の大地図、直径一尺にちかきセルロイドの独楽、糸よ....
クリスマス・カロル」より 著者:ディケンズチャールズ
、それに安物の襟留めと、これだけであった。品物はジョー爺さんの手で一々検められ、値踏みされた。爺さんはそれぞれの品に対して自分がこれだけなら出してもいいと云う値....
時事雑感」より 著者:寺田寅彦
記憶だけが蓄積され、これにあたらない場合は全然忘れられるかあるいは採点を低くして値踏みされるためかもしれない。しかし必ずしもそういう心理的の事実のみではなくて、....
箱根熱海バス紀行」より 著者:寺田寅彦
い。去年見た新解釈「金色夜叉」の芝居で柳永二郎の富山がお宮の母と貫一の絶縁条件を値踏みしなが「二万円もやりぁいいでしょう」と云ったあの舞台面は多分ここをモデルに....
足迹」より 著者:徳田秋声
入った手匣を持ち込む時も、そっと中から出して、黴くさい絵を従姉に見せながら、その値踏みなどをしてもらった。 八十五 「そう毎日ぶらぶら遊んでばかりいる....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
い》やされざる不満の境にとどまるのを潔しとする。それに調和というやつがあまり高く値踏みされているから、そんな入場料を払うことは、どうも僕らのふところぐあいに合わ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
も握手することも承知しなかった。メルキオルは耳を澄して、まだやまないでいる喝采を値踏みしていた。そしてクリストフをも一度舞台に連れ出そうとした。しかし子供は猛然....
死までを語る」より 著者:直木三十五
して、鉄瓶《てつびん》を買ってきたり、箪笥《たんす》を買ってきたりしたが、それを値踏みするのは、いつも、近所の、岡本という古着屋の人であった。 「宗一、岡本はん....
日和下駄」より 著者:永井荷風
来す訳でもあるまい。眼前の利にのみ齷齪《あくせく》して世界に二つとない自国の宝の値踏《ねぶみ》をする暇《いとま》さえないとは、あまりに小国人《しょうこくじん》の....