倦く[語句情報] » 倦く

「倦く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

倦くの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
咲いてゆく花」より 著者:素木しづ
彼女の瞳の前にいくつかの小さな環になって、キラ/\と渦をまくように感じながら、物倦く着物の前を合せて、それからひそかに姉や兄やまた母親の姿をさけて、茶の間に行っ....
睡蓮」より 著者:横光利一
のか強く否定した。 「死んだんだよ。死んだと云ってたよ」 とまた次男は声を強め倦くまで長男に云い張った。どちらがどうだかよく分らなかったが、とにかく不慮の出来....
」より 著者:島崎藤村
って、その席を離れた。 炉辺の洋燈は寂しそうに照していた。何となくお雪は身体が倦くもあった。毎月あるべき筈のものも無かった。尤も、さ程気に留めてはいなかったの....
白くれない」より 著者:夢野久作
に恍惚として夢の中なる夢の醒めたる心地となり、何事も手に附かず、夕餉の支度するも倦く、方丈の中央に仰向きに寝ね伸びて、眠るともなく醒むるとも無くて在りしが、扨、....
旅愁」より 著者:横光利一
、しつこくかき口説きながら女の唇の傍へ自分の口をよせていった。その傍で女の亭主は倦くまで理想主義のトロツキストを支持しつつ、現実主義のスターリン派を罵倒してやめ....
夜の靴」より 著者:横光利一
て来たので、私には疎開者だと思う気持ちはいまだにない。それが悪く邪魔をしている。倦くまで研究心を失いたくはないと思う虚剛と、人間らしからざる観察者の気持ちを伏せ....
南国太平記」より 著者:直木三十五
て来なかった。 その内に、身体中が、少しずつ、倦《だる》くなってきた。関節が、倦くて、堪らないから、揉みたい、と思ったが、もう、手を動かすのも、厭であった。 ....
地上」より 著者:島田清次郎
したが、冬子が厳かに取り澄ましていたので、黙って店へ帰って来た。小妻は身体中が物倦く節々がやめて起きていられなかった。床をしいて横になり、暗い何かを疑うような絶....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
。また欧州より東へ帰る者である。舟帆(篷は舟の苫)をかたわらに筆談す。※々として倦くことなく、すこぶる旅のおもいを慰められた。甫水兄は書物においてあえて読まない....
想い出」より 著者:古川緑波
われる。 おおそして、その肉に従属するところの、もろもろの野菜たちよ! 貪欲倦くところなき僕は、幾たびか又その肉のお代りをしたものである。 ひょいと後を向....
後の日の童子」より 著者:室生犀星
ていた。――そして馬陸は、靴針のように童子の足跡を辿って、幾重にも縫糸をかがって倦くことを知らなかった。 笏は、夕刻にはそのふしぎな暗い森の中の家のまわりを、....
日本料理の要点」より 著者:北大路魯山人
口やかましく言いはやす者ほどに、その季節には朝に昼に晩に、季節ものを口につづけて倦くものである。いかに季節に香味があると言っても、一日に、朝、昼、晩とつづけたの....