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倹約家
「倹約家〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
倹約家の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「少女地獄」より 著者:夢野久作
相談には深い興味を持っておりましたらしく、眼を光らして私の傍の椅子に参りました。
倹約家の父は珍しく金口を吹かしながら、いつになくニコニコした口調《くちょう》で申....
「足迹」より 著者:徳田秋声
なことはなかった。好きな芝居を見に行っても、始終家のことを気にかけていた。お庄は
倹約家の叔母が、好きな狂言があるとわざわざ横浜まで出向いてまで見に行くのを不思議....
「安重根」より 著者:谷譲次
禹徳淳は空寝入りをして鼾をかいている。長い間がつづく。 安重根 おやじの安泰勲が
倹約家で、少しばかり不動産があってねえ、鎮南浦に残して来た僕の家族は、それで居食....
「光のない朝」より 著者:宮本百合子
倦《う》みも飽きもせず、解《ほぐ》した毛糸を巻き暮した。老夫人は、親戚でも有名な
倹約家であった。暖い南の日が流れる隠居所の縁側に、大きな八丈の座布団を出し、洗濯....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
ンスと、イギリスと、スペインの金を共通の価格に換算する表くらいしかなかった。 「
倹約家だ!」と医師が叫んだ。「この男は騙されるような人間じゃなかったですな。」 ....
「塩花」より 著者:豊島与志雄
、それほどの栄養を摂取することは出来なかった。彼はさほど富裕ではなかったし、また
倹約家でもあった。 この二つの例外が、彼の気分にちょっと陰翳を投じた。なぜなら....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
が、故あって浪人となり、家族ともども江戸に出た。貨殖の才がある上に、信州人特有の
倹約家で、金貸などをひそかにやり、たいして人にも怨まれないうちに、相当に貯めて家....
「“能筆ジム”」より 著者:坂口安吾
ウエスト・フィールドに移り、その後また同じ州のフランクフルトに住み、農場を持ち、
倹約家の立派な農夫になりすましていた。 事実、逮捕になるときまで、彼は隣人たち....
「越後獅子」より 著者:羽志主水
月に、故国の越後を飛出す時に買った、此セーターが、今では何よりの防寒具だ。生来の
倹約家《しまつや》だが、実際、僅の手間では、食って行くのが、関の山で、稀《たま》....
「旅役者の妻より」より 著者:矢田津世子
頃、良人は一、二度遊びにいったこともあるそうですが、金貸しをして居り、何せ評判の
倹約家で、ものにすたりはないと言い、一本の爪楊枝も無駄にはせずささくれたら又削っ....
「三国志」より 著者:吉川英治
緑色のボロ袍をかさね着して澄ましこんでいた。 「羽将軍、君は武人のくせに、えらい
倹約家だな。なぜそんなに物惜しみするのかね」 「え。どうしてです? 特に贅沢した....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
仕事をしさえすればいいのだ。またたく間に彼は救われるのだ――僕はまた、以前よりは
倹約家になった…… 不幸なことに不健康という嫉妬ぶかい悪魔が僕の行く手を妨げに....