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「健啖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

健啖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、飮んだり食ったりした。盤や坏は見る見る内に、一つ残らず空《から》になった。女は健啖《けんたん》な彼を眺めながら子供のように微笑していた。彼に刀子《とうす》を加....
魚河岸」より 著者:芥川竜之介
猪口《ちょく》は重ねなかった。その代り料理を平げさすと、二人とも中々《なかなか》健啖《けんたん》だった。 この店は卓も腰掛けも、ニスを塗らない白木《しらき》だ....
俊寛」より 著者:菊池寛
苦しい仕事であった。が、それを炙ると、新鮮な肉からは、香ばしい匂いが立ち、俊寛の健啖な食欲をいやが上にも刺激する。 彼は、毎日のように、近所の海角に出て、鰤を....
食魔」より 著者:岡本かの子
片付けられる毎に、ずしんずしんと減って、気の衰えをさえ感ずるのだった。 夫人も健啖だったが、画家の良人はより健啖だった。みな残りなく食べ終り、煎茶茶椀を取上げ....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
食べたり、油っこいうどんを汗かきながらすすったりした。田舎出の少年は、おそるべき健啖ぶりであった。彼は、冷いのみものや、氷菓子を好まなかった。鉄板にじいじい音を....
貞操問答」より 著者:菊池寛
うとするのでもなかった。父母の会話を外に兄姉達は、喰べるのに忙しい。殊に小太郎の健啖ぶりは、痛快と云うよりも、親の眼からは、あの小さい身体のどこへはいってしまう....
次郎物語」より 著者:下村湖人
肥満型で、血圧が高かったため、酒も煙草もたしなまなかったが、その代わりに、非常な健啖家で、速度もなみはずれてはやく、それがしばしば食卓の笑い話の種になるほどだっ....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
わずかだったし、とても毎日の糧をもとめるにも足りないくらいだった。彼はなかなかの健啖家で、痩せほそってはいたものの、大蛇のように胃袋をふくらますことができたのだ....
赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
にロシアを、次に支那を」と話してくれて僕を浦山しがらせ、その抱擁力の偉大さとその健啖ぶりの猛々しさに僕を驚かせたことや「フランスが八十|弗で支那が四十|弗でロシ....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
いつまでも淡路の島陰にあった。 ある時は須磨寺に遊んで敦盛蕎麦を食った。居士の健啖は最早余の及ぶところではなかった。 人も無し木陰の椅子の散松葉 子規 涼し....
仲々死なぬ彼奴」より 著者:海野十三
果物の王様といわれるマンゴーの生々したのを老人の枕頭に供えるものもあった。日頃|健啖な大熊老人は、それ等の届けものの食料品を、とに角|一と通りは味わってみるので....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
あったろう。無論食通ではなかったが、始終かなり厳ましい贅沢をいっていた。かつ頗る健啖家であった。 私が猿楽町に下宿していた頃は、直ぐ近所だったので互に頻繁に往....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
れて殆んど七十余日間|病牀の人となった。それから以後著るしく健康を損じて、平生|健啖であったのが俄に食慾を減じ、或る時、見舞に行くと、「この頃は朝飯はお廃止だ。....
えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
を入れて,小男の前におしやった. 私たちがせっせと食べていると,小男は私たちの健啖ぶりを呆れ顔に眺めていたが,やがて言うことには, 「こら女ども,見ているとお....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
銀緑の蒼蠅にこれはと目をしかめた。 「ひやむぎでもやるかな。」と私が笑うと、 「健啖だなあ。」と庄亮が驚く。 だが、ビールの一、二本がすぐと抜かれた。 いわ....