健忘[語句情報] »
健忘
「健忘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
健忘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蜘蛛」より 著者:甲賀三郎
、世界各地の珍奇な蜘蛛がみられるようになったのである。 半年を経過するころには
健忘症の世人は、もう博士がこの奇妙な研究室に閉じこもって、蜘蛛の研究をしているこ....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
ちょっとわれわれには了解のできにくい現象である。新聞の読者というものは恐ろしく
健忘性なものであると仮定するか、あるいはまた新聞購読者の大多数は、ほんの気まぐれ....
「函館の大火について」より 著者:寺田寅彦
とに帰すべきであろう。むしろ、人間というものが、そういうふうに驚くべく忘れっぽい
健忘性な存在として創造されたという、悲しいがいかんともすることのできない自然科学....
「天災と国防」より 著者:寺田寅彦
めいめいの哲学に任せるとして、少なくも一国の為政の枢機に参与する人々だけは、この
健忘症に対する診療を常々怠らないようにしてもらいたいと思う次第である。 日本は....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
慶賀すべき事で当然の事である、だが、肝腎の所得が怪しいから閉口する、私は、性来の
健忘症と不精から、所得の申告というものをうっかり捨てておいたのだ、すると、私の収....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
だ当分のうち決して見ない事にしている。 しかし、その西洋のものといえども、私の
健忘症は見たものを次から次へと忘れて行くが、私はアドルフマンジュという役者を忘れ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
だ当分のうち決して見ない事にしている。 しかし、その西洋のものといえども、私の
健忘症は見たものを次から次へと忘れて行くが、私はアドルフマンジュという役者を忘れ....
「新春偶語」より 著者:寺田寅彦
いは地震や火事の災害を根本的に除くためには、やはり同様な恒久的施設が必要である。
健忘症の政治家や気まぐれな学界元老などの手に任せておくにはあまりに大切な仕事であ....
「酒ぎらい」より 著者:太宰治
もないのだし、私は高等学校時代の友人の顔でさえ忘れていることが、ままあるくらいの
健忘症なのに、W君の、その窓から、ひょいと出した丸い顔だけは、まっくらい舞台に一....
「白痴」より 著者:坂口安吾
われていたかのような遠い気持がするだけだった。 戦争という奴が、不思議に健全な
健忘性なのであった。まったく戦争の驚くべき破壊力や空間の変転性という奴はたった一....
「巷談師」より 著者:坂口安吾
負けて手紙をよこしたというのは、ない。賭事をやる人間は、負けた時は黙々として
健忘症となり、勝った時の記憶だけは死ぬまで忘れることができないという語部の精神に....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
不明になったのは、さしたることではなかろう。予言の的中におどろきのあまり、逆行性
健忘症というものになったらしいや。よくあることだ。昔はこれを神隠しといったな。い....
「安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
の中以来のことは常人同様はっきり覚えているし文章も巧く英語も話すが、完全な逆行性
健忘という病気であるということが分りました。しかもアミタールという麻酔剤で半酔状....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
の事は大抵忘れてしまったといういたって率気ない挨拶だったそうだ。御当人がそういう
健忘性だから世間からも西という公使があったかなかったか今では全く忘れられている。....
「あの顔」より 著者:大倉燁子
って、どうするものかと、つい口の先まで出かかったのをぐっと呑み込んで、 「いくら
健忘症の僕でも、あの頃のことだけは忘れませんよ」 「じゃあ、いまでも怒っていらっ....