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「偶々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

偶々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
仙人」より 著者:芥川竜之介
手短に、自分の経歴を話した。元は、何とか云う市《まち》の屠者《としゃ》だったが、偶々《たまたま》、呂祖《ろそ》に遇って、道を学んだと云うのである。それがすむと、....
忠義」より 著者:芥川竜之介
、男は、物々しい殿中の騒ぎを、茫然と眺めるばかりで、更に答えらしい答えをしない。偶々《たまたま》口を開けば、ただ時鳥《ほととぎす》の事を云う。そうして、そのあい....
」より 著者:芥川竜之介
わたしはすっかり疲れていた。肩や頸《くび》の凝《こ》るのは勿論、不眠症もかなり甚しかった。のみならず偶々《たまたま》眠ったと思うと、いろいろの夢を見勝ちだった。いつか誰かは「色彩の....
茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
のが其の幹を取り巻いて、一と所ずつ殊に多く濃い色彩を放って見える。そんなところに偶々シメジと呼ぶ白い茸が早く簇生していることがあるので、注意深い眼を見張って桜の....
一寸怪」より 著者:泉鏡花
一つの別世界というような物があって、其処には例の魔だの天狗などという奴が居る、が偶々その連中が、吾々人間の出入する道を通った時分に、人間の眼に映ずる。それは恰も....
J・D・カーの密室犯罪の研究」より 著者:井上良夫
るようなことが起る。後刻、今度は本当に密室となった部屋の中で、その部屋の中の人が偶々過って死んだとする。すると、実際は時を距てて起ったこれらの出来事が、同時に(....
感応」より 著者:岩村透
、この怪談というものは、何れの人々も、興味を持つものとみえて、私等は或晩のこと、偶々それを初めたのであった。 この男が、まだ布哇の伯母の家に、寄寓していた頃、....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
か光琳とか文晁とか容斎とかいう昔しの巨匠の作に泥んだ眼で杓子定規に鑑賞するから、偶々芸術上のハイブリッドを発見しても容易に芸術的価値を与えようとしない。外国人は....
二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
かった。今日の如く雑誌の寄書家となって原稿料にて生活する事は全く不可能であった。偶々二三の人が著述に成功して相当の産を作った例外の例があっても、斯ういう文壇の当....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
った。その経綸が実業家の眼から見るというべくして行うべからざる空想であったから、偶々その方面の有力者に話しても聞棄てにされるばかりで話に乗ってくれなかった。 ....
二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
機会に乗じて驥足を伸べるどころか、火の子を恐れて縮こまって手も足も出ないでいる。偶々チョッカイを出しても火傷をするだけで、動やともすると野次馬扱いされて突飛ばさ....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
ぱいに繃帯を巻き、絶対安静を要する意味でいつも部屋の中で仰向きに寝てばかりいた。偶々看護人でも近寄ろうものなら大声を上げて喚き出す始末で、他人の患部へ手を触れる....
白い蝶」より 著者:岡田三郎助
ったものの、今日まで、こんな恐ろしい目に出会った事は未だにない、今でも独りで居て偶々憶出すと、思わず戦慄するのである。....
河明り」より 著者:岡本かの子
からであった。そして、これは都会の人間から永劫に直接具体的には聞き得ず、こういう偶々の場合、こういう自然現象の際に於て、都会に住む人間の底に潜んだ嘆きの総意とし....
春風遍し」より 著者:小川未明
に出かけることもなく、いつも歩く巷の通りを漫然と散歩して、末にこんな処へ立寄り、偶々、罎にさした桜の花が、傍の壁の鏡に色の褪せた姿をうつすのをながめて、書きかけ....