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「偸安〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

偸安の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
近時政論考」より 著者:陸羯南
改革に反対する守旧の思想に出でたるあらん、開港貿易を説く者あるいは戦争を厭忌する偸安の思想に出でたるあらん。吾輩はこの点において古今政界の常態を知る、その心情を....
マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」より 著者:宮本百合子
ニイのこれらの連中のある者はマルクス主義に近づくや否や個人主義的毒素や利己主義や偸安で勝手にマルクスの理論をゆがめ、多くの者は唾棄すべき卑俗な「唯物論者」になり....
マクシム・ゴーリキイの発展の特質」より 著者:宮本百合子
とで滅ぼされている。しかし坐って論じている人々は、歴史の必要性というものを自身の偸安の便利な云いわけにつかった。この時代、ゴーリキイはコロレンコに近づき、コロレ....
生活者としての成長」より 著者:宮本百合子
なければならない、そのような今日の時代の鍛錬が今日の若い世代を、小市民らしい自己偸安に成長した前世代人より、立ちまさった客観力も具《そな》わった生活者にするであ....
ゴルフ・パンツははいていまい」より 著者:宮本百合子
じられているとしたら、とんだ間違いです。 一人の女が小ブルジョア的な人道主義、偸安主義の生活を何かの必然的動機ですて、プロレタリア解放のために一つの役割をもっ....
若き世代への恋愛論」より 著者:宮本百合子
着さとで我々がおかれている現実の環境とその推移の本質を見とおし、恋愛においても、偸安に便利な条件を左顧右眄《さこうべん》して探すのではなく、愛しうるひとを愛し抜....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
きていようとする作家の努力を作家だから安易であるという風に概括出来るのだろうか。偸安《とうあん》的でない作家が、そして私のような愛情で生きている女が二つのもの(....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
。誰か私のほかに人がいる、その点で。こういう避けがたい私の必要と、Sのお嬢さん的偸安とが結びつくことは警戒しなければならないのは確です。私の生活にも関係している....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
くようになって来たのもおかげですから。 それから島田からかえりのことね。あれは偸安という意味からだけではなかったのでした。非常に疲労していたし、且つ又婚礼の場....
理想の女」より 著者:豊島与志雄
女の精神の据え所にあった。彼女はもはや進むということを知らなかった。そして現在の偸安をのみ事としていた。 女の退歩は、家庭の主となる所から、主婦として安住する....
都会に於ける中流婦人の生活」より 著者:豊島与志雄
でよいではないか。人生からあらゆる楽しみを取去って、苦しみだけを残す必要はない。偸安がいけないことであると同様に、偸苦もいけないことである。自由な安楽は、人に若....
ヒューメーンということに就て」より 著者:豊島与志雄
も一歩進んだ欠陥の方が優れてるということを注意しなくなる。作家の方に就て云えば、偸安を事として努力を忘れてくる。周囲の狭い世界に満足して、視界を拡大せんとするこ....
長篇小説私見」より 著者:豊島与志雄
て、云いかえれば作者の創作活動の積極面について、是認されることであって、文学者の偸安と責任逃避との口実に使用さるべきものではない。作者は作中人物について、一の批....
文学への実感について」より 著者:豊島与志雄
で、いろいろの原因から来る作品の質の低下と相俟って、酷しい現実を紛らすための娯楽偸安の具として作品を読む多数者のことは、茲では取上げないことにして、ただ、作品の....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
。為家から為氏・為世の撰集に感じられるところの、和歌を風流の嗜みと化した数寄者の偸安でもない。吉野の廷臣に歌を歌わせたものは、自らに悲運を感じた感傷であった。私....