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「偽る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

偽るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
もな》いはしなかった。彼はただ神聖な存在の前に引きだされたような気分で、何事をも偽ることなく心をこめて考えた。そして最後に彼はおぬいさんにこの上なく深い愛と親し....
ある崖上の感情」より 著者:梶井基次郎
変わらない冷淡さもしくは親切さで彼を遇していた。生島には自分の愛情のなさを彼女に偽る必要など少しもなかった。彼が「小母さん」を呼んで寝床を共にする。そのあとで彼....
自叙伝」より 著者:大杉栄
愛している、今こうして相抱き合っている彼女よりも以上に愛している、僕はこの事実を偽ることはできないと言った。彼女はそれを承認した。しかも、ちっともいやな顔は見せ....
文人囲碁会」より 著者:坂口安吾
いゝ石を打って、キレイに負ける習慣になっている。 要するに小林秀雄も、碁に於て偽ることが出来ない通りに、彼は実は独断家ではないのである。定石型、公理型の性格な....
世評と自分」より 著者:坂口安吾
ことを。 私が如何なる作家であるか、私はすべてを歴史にまかせる。私は私の小説を偽ることはできないのだから。 だが、情痴読者が多すぎる。文学を正しく受け入れるには、教養がいる。人間!....
太宰治情死考」より 著者:坂口安吾
に方は偽られ、死に方に仮面をかぶり、珍妙、体をなさなくとも、その生前の作品だけは偽ることはできなかった筈である。 むしろ、体をなさないだけ、彼の苦悩も狂おしく....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
まの生活を見ていただきたかったのです。なぜかと申しますと、ぼくが野中さんに対して偽る気持をもたないこと、野中さん御夫妻へのぼくの偽りない友情を信頼していただきた....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
れが竜宮であろうか、あれは妖精であろうかとふと考えて見た。しかしそれは自分の心を偽るための見せかけだった。彼は余りにも強烈な慾情を自覚したくなかったのだ。彼は五....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
の一つ。青緑の海が逆立ちになっている。いきなり海がそう見えたというのは、その時の偽ることのできぬ心像であったのだろう。海が平面から立ちあがって急傾斜をなしている....
フシギな女」より 著者:坂口安吾
ら確実らしく思われるが、実は犯罪者という老練冷静な実行家にとって、とッさの本能を偽るぐらいは易々たるものかも知れない。 むしろ考える時間を与えて、手記でも書か....
安吾人生案内」より 著者:坂口安吾
いと思うが、有りもせぬ美名をつけて犬の智脳向上改良などゝはムダな話であるし、世を偽るものでもあろう。 馬というものは概ね走るだけが能であるし、その取柄や役割も....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
ので、ちょうど好い。産婦に血を上らしてはいけねえと、連れて来た赤ン坊を今産れたと偽る様に産婆と腹を合せてその場を繕ったのが今のお玉。実のお母親の気でいても全くは....
ばけものばなし」より 著者:岸田劉生
己を持す意力の弱い人、一、甚だしく遊戯的気分の多い人、一、話の興味のために自己を偽る人、一、甚だしく対他的興味の強い人、一、芝居気のある人、一括していえば性格の....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ファウスト しかし君達のは名を聞くと、 大抵本体が読める。 蠅の神、残う者、偽る者などと云えば、 はっきり知れ過ぎるではないか。 そんなら好い。一体君はなん....
自由なる空想」より 著者:小川未明
に帰することによって、幸福の本質を異にするからだ。 いかなる場合にも、自からを偽ることなく、朗らかな気持になって、勇ましく、信ずるところに進んでこそ、人間の幸....