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偽悪
「偽悪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
偽悪の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
っておきながら、知らん顔をして帰っていった。
「ガンベのいうことはそりゃあんまり
偽悪的じゃないか。そうだろう。俺が今日いったような考えはすべての階級の人間が多少....
「女生徒」より 著者:太宰治
んにどぎつくなっている作品が多かったような気がする。愛情の深すぎる人に有りがちな
偽悪趣味。わざと、あくどい鬼の面をかぶって、それでかえって作品を弱くしている。け....
「語られざる哲学」より 著者:三木清
は傲慢にも神を試みようとはしなかったか。私は強《し》いて罪悪に身を委せようとする
偽悪家を気取ったことはないか。自己の性格の強さを試さんがために私は好んで誘惑に近....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
ちあけられるものではない……。だが都会人の気の弱いものが、一たん飜ると思い切った
偽悪者になることも、小初はよく下町で見受けている例である。貝原もそれを見越して父....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、そうでございましょう。でも、そんな隈取りは、もう既に洗い落してしまいましたわ。
偽悪、衒学……そういう悪徳は、たしか、私には重過ぎる衣裳でしたわね」と第一日以来....
「秋風記」より 著者:太宰治
なってしまうということ。」 「私には、そう思えないの。誰もおまえを憎んでいない。
偽悪趣味。」 「甘い?」 「ああ、このお宮の石碑みたい。」路傍に、金色夜叉の石碑....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
自分の心を悪のみと宣べるのは、善のみと宣べるのと同じく一種のヒポクリシーである。
偽悪である。そのうえ私はかく宣べるのは何者かに対してすまないような気がする。私は....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
人も、自分の作品に向うとその制作態度が、やはり時代的な意欲の逞しさに作用されて、
偽悪の世界に四股をふんでいる姿であったのは面白い。 数年前『婦人公論』に短篇を....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
へくると、気さくで皮肉で、小心な正直ものだった。 彼は気の弱さと小ささからくる
偽悪家だった。それは若い時は仕様《しよう》のない放蕩者《ほうとうもの》でもあった....
「桐生通信」より 著者:坂口安吾
外そのへんにしかないように思う。 しかし文学の宿題は白痴美を探すことではない。
偽悪醜にモミクチャの人間をはなれるわけにいかないのである。 存在しない....
「おみな」より 著者:坂口安吾
しに私は生きるはりあいがない。貴殿の逆鱗にふれることは一向怖ろしくもないのだが、
偽悪者めいた睨みのきかない凄文句ではなかろうかとヒヤリとしてみたまでのこと。 ....