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「傘一本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

傘一本の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女生徒」より 著者:太宰治
ツ。ああ、おかしい、おかしい。現実は、この古ぼけた奇態な、柄《え》のひょろ長い雨傘一本。自分が、みじめで可哀想。マッチ売りの娘さん。どれ、草でも、むしって行きま....
観画談」より 著者:幸田露伴
、慌てて衣を着けて支度をした。勿論少し大きな肩から掛ける鞄と、風呂敷包一ツ、蝙蝠傘一本、帽子、それだけなのだから直に支度は出来た。若僧は提灯を持って先に立った。....
私たちの建設」より 著者:宮本百合子
く生活の全破壊、混乱の内容が現れて来る。夜具一枚、布団一枚、皿小鉢から下駄一足、傘一本、バケツ一箇に至るまでの損耗がふくまれている。その荒廃の中に、何とかして再....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
、一呼吸吐いた頃から、降籠められた出前の雨の心細さに、親類か、友達か、浅草辺に番傘一本、と思うと共に、ついそこに、目の前に、路地の出窓から、果敢ない顔を出して格....
大正十二年九月一日よりの東京・横浜間大震火災についての記録」より 著者:宮本百合子
、私口惜しくって口惜しくって、こんなんなら放ぽり出してやればよかったと思ってね、傘一本、着換え一枚ありませんや。」 その婆さんが話したが、呉服橋ぎわの共同便所....
独り旅」より 著者:若杉鳥子
した。その日の午後、私達は碓井の麓で袂れを告げた。リュックサックも何もなしに、雨傘一本で山から山へと歩いてゆく、友達の身軽な姿を私は振り返って見送っていた。 ....
地上」より 著者:島田清次郎
をただ単なる平一郎の強情と思ったのである。また平一郎が与える旺盛な少年の精気は、傘一本買えない家庭の貧しさを連想させないものがあったことも確かである。 「それに....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
寸五分。すかさず下から彦が払う。獲物は――と言いたいが拾って来たらしい水だらけの傘一本。 「勘!」 藤吉が呶鳴った。 「おう。」 と飛んで出た御家人崩れの勘....