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傘屋
「傘屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
傘屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「電報」より 著者:黒島伝治
には弟が一人残っているだけだ。幸い、中学へやるくらいの金はあるから、市《まち》で
傘屋をしている従弟に世話をして貰って、安くで通学させるつもりだった。 「具合よく....
「道楽と職業」より 著者:夏目漱石
つかえ》ない。ところが近頃になるとそれが変ってシャツ屋はシャツ屋の専門ができる、
傘屋は
傘屋、靴屋は靴屋とちゃんと分れてしまいました。靴足袋屋……これはまだ専門は....
「明暗」より 著者:夏目漱石
すじ》の袴《はかま》に透綾《すきや》の羽織をはおったその拵《こしら》えは、まるで
傘屋《かさや》の主人《あるじ》が町内の葬式の供に立った帰りがけで、強飯《こわめし....
「門」より 著者:夏目漱石
、品物と見較《みくら》べて見た。そうして実際金時計の安価なのに驚ろいた。 蝙蝠
傘屋《こうもりがさや》の前にもちょっと立ちどまった。西洋|小間物《こまもの》を売....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
見出せし如く突々と歩去るにぞ藻西の家に入る事かと思いの外、彼は縁も由縁も無き蝙蝠
傘屋に入らんとす「君|夫は門違いで無いか」と殆ど余の唇頭まで出たれど茲が目科の誡....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
かに講堂とおぼしきあたりから聞こえて来る。 学校の門前を車は通り抜けた。そこに
傘屋があった。家中を油紙やしぶ皿や糸や道具などで散らかして、そのまんなかに五十ぐ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
消してしまい、新橋から住み替えて来た北海道産の梅千代という妓も、日本橋通りの蝙蝠
傘屋に落籍され、大観音の横丁に妾宅を構えるなど、人の出入りが多く、春よしも少し陣....
「突堤」より 著者:宮本百合子
けた。 ステーションの在る町は村から小一里離れていた。田圃の中にポッツリ一軒唐
傘屋があって、そこから次第に餅屋、蚕種試験所と町並が始るのであったが、恰度《ちょ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
などして待受けていた。そこへ帰着した日より住まったのである。それは松山城の北で、
傘屋町という所にあった。私も今度は自分の邸というものに初めて住んだのであるから、....
「おせん」より 著者:邦枝完二
口から流しへ出て来た春重の様子には、いつも通りの、妙な粘りッ気が絡みついていて、
傘屋の金蔵の心持を、ぞッとする程暗くさせずにはおかなかった。 「てえした面白え話....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
家を出て土手の方へ向って行きますと、左手は前に書いたお湯屋で、右手の広い空地に
傘屋がありました。住いは奥まっていて、広場が傘の干場でした。そこはきっと大きな家....
「予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
と傘を部屋においてホテルを出ると、目的をいだく人のすばやい足どりで、ストランドの
傘屋にはいり、そこで一本の籐のステッキを買うのに不思議はないかも知れないが、彼の....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
っても、カフェエ、バア、喫茶店の油断なく立並んだことよ――たま/\ひょうきんな洋
傘屋あって赤い大きな目じるしのこうもり傘を屋上高くかかげたことが、うち晴れた空の....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
この警察署長の息子も僕の友だちだったのを覚えている。それから警察署の隣にある蝙蝠
傘屋も――
傘屋の木島さんは今日でも僕のことを覚えていてくれるであろうか? いや、....
「それから」より 著者:夏目漱石
付いた。するとその赤い色が忽ち代助の頭の中に飛び込んで、くるくると回転し始めた。
傘屋の看板に、赤い蝙蝠傘《こうもりがさ》を四つ重ねて高く釣るしてあった。傘の色が....