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債鬼
「債鬼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
債鬼の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
威勢は良かったが、大晦日の闇市を歩いてその材料の一つや二つ拾って来ようと、まるで
債鬼に追われるように原稿の催促にせき立てられた才能乏しい小説家の哀れな闇市見物だ....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
日後にするのだね、ではこの次に……いまは仕方がないのだから……」 彼がそれらの
債鬼へこう言ったその三日目の前日は、彼が親友青沼の家へ移転する日であった。 ....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
りないのだ。サー・ウォルター・スコットを思う。突然破産し・次いで妻を失い・絶えず
債鬼に責められて機械的に駄作を書き飛ばさねばならなかった・晩年のスコットを。彼に....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
見ましょう、と大福帳やら算盤を押しつければ、亭主は眼をしぶくあけて、泥酔の夢にも
債鬼に苦しめられ、いまふっと眼がさめると、われは百両の金持なる事に気附いて、勇気....
「作家のみた科学者の文学的活動」より 著者:宮本百合子
期は、読書人の間に随筆が迎えられた時、内田百間氏が「百鬼園随筆」によって第一段の
債鬼追っ払いをした時代であり、日本文学の動向に於てかえり見ると、これは明瞭な指導....
「自然描写における社会性について」より 著者:宮本百合子
しかも、それは現代の経済段階においては、純粋な労働の成果に関する関心ではなくて、
債鬼への直接的連想の苦しみなのである。せんだって私は信州に数日暮し、土地の新聞を....
「映画の恋愛」より 著者:宮本百合子
なると、顔は非常に消極的な役割しか演じなくなる。「裸の町」についていえば夫の留守
債鬼に囲まれながら孤城のような店に立てこもっている妻の顔つきは全く内部の感情と結....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
いいように年が寄っていた。野良仕事にも、夜なべにも昔日のように精が出なくなった。
債鬼のために、先祖伝来の田地を取られた時にも、おしかはもう愚痴をこぼさなかった。....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
と米相場に手を出し、ずるずるとそちらの方に引張られて行って損に損を重ね、とうとう
債鬼に責め立てられて店を離さねばならなかった。相場は魔物だ、中村さんも魔物に憑か....
「決闘」より 著者:神西清
な。そんなことが出来るものか。一人はどうしても残らなくちゃならんのだ。さもないと
債鬼どもが喚き出すからな。なにしろ方々の店をあわせると少くも七百ルーブリは借りが....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
の言訳はできないのである。私はその本職の借金を言訳してやった。 どんな執念深い
債鬼が押し寄せても人の借金の言訳ならなんでもないものだ。むしろ敵が執念深いほどハ....
「上海」より 著者:横光利一
身体が刻々に熱くなった。もしこのまま死ねたらとそう思うと、競子の顔が浮んで来た。
債鬼の周章てた顔がちらついた。惨忍な専務の顔が。――専務の食った預金の穴を知って....
「野宿」より 著者:山之口貘
くのことなのであって、ぼくのことを寄越せと云っているその親類の者は、父にとっての
債鬼なのである。ぼくのことを父の借金の身替りにして取って、東京へでも留学をさせて....