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傷ましい
「傷ましい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
傷ましいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
※《うそ》だったことは明らかである。しかしこの※を話しつづけたトルストイの心ほど
傷ましいものはない。彼の※は余人の真実よりもはるかに紅血を滴らしている。
....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
て、大きな丸い黒印をベタベタと牛の股に捺して歩いた。 不思議にも、屠られた牛の
傷ましい姿は、次第に見慣れた「牛肉」という感じに変って行った。豚も最早|一時前ま....
「日本脱出記」より 著者:大杉栄
うだ。ロシアの旧将軍が三等で威張っているのは、ちょいと滑稽だったが、これは何だか
傷ましいような気がした。 それでもこのお爺さんは、温厚らしいうちにも、どこか知....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
かる場合にも真実なる恋は成り得る。かかる青年が処女と相恋するならば、そはまことに
傷ましい、むしろ恐ろしい運命である。しかしかかる場合にも真実なる恋は成り得る。し....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
隅にある暗い山茶花の下を歩いて見たりした。年老いた身の寄せ場所もないような冷たく
傷ましい心持が、親戚の厄介物として見られような悲しみに混って、制えても制えても彼....
「宝島」より 著者:佐々木直次郎
かし、そういうあらゆる空想の中でも、私たちが後に実際の冒険で出合ったような奇妙な
傷ましい出来事は一つも思い浮ばなかったのである。 こうして何週間も過ぎていった....
「人生における離合について」より 著者:倉田百三
その人生行路において切実な「別離」というものを味わった人々であることが多い。深い
傷ましい「わかれ」は人間の心を沈潜させ敬虔にさせ、しみじみとさせずにはおかない。....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
。其処には誰も居なかった。王の持っていたらしい王笏と、穿いていたらしい靴が一足、
傷ましい悲劇を語り顔に、床の上に捨ててあるばかりで、王も王妃も居ないのである。 ....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
ついているものだが、誰しもその自然の碑文には心を打たれ、また、それらのすべては、
傷ましい荒廃の感銘にほかならないのであった。 しかし、外見は海荘風のその家も、....
「フランケンシュタイン」より 著者:シェリーメアリー・ウォルストンクラフト
い商売に一生奴隷として働かされる人のような気がした。毎日、微熱に悩まされ、じつに
傷ましいほど神経質になって、一枚の木の葉が落ちてもギョッとし、罪を犯した者のよう....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
?) 思い出そう、思い出そうと、薪左衛門は焦心った。 「栞や」と、薪左衛門は、
傷ましい声で云った。 「わしを野中の道了へ連れて行っておくれ。……あそこへ行った....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
渡ししなければならない。……死なれない死なれない死なれない!」
しかしまもなく
傷ましい事件が老売卜者の身の上に起こった。筆法を変えて描写しよう。冴えた腕だ! ....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
それを早く話しておくれ……。若様の横……死……。 従者 その横死は、ああ、ああ、
傷ましいとも、いじらしいとも……私始め一同が永久に忘れられぬその横死! 女子 早....
「星の子」より 著者:小川未明
た。そして、いまごろ、高い山の上の雪の光る下に、草となってふるえている、わが子の
傷ましい運命を思いました。 いまから、すぐにも、彼女は、旅立ちをしてその高い山....
「自分を鞭打つ感激より」より 著者:小川未明
ことができません。それと関聯して、校庭にあった、あの一本の苛められた大杉の木が、
傷ましい姿で、よく生を保ちつゝあった強い姿を忘れることができません。 また、村....