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「傷む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

傷むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
富士」より 著者:岡本かの子
に、庭の小石も変っていら」 翁はそういって、なおも燈のかげで小石を捻っていた。傷むこころに、きらりと白銀の丸のような光りが刺した。 「おれはいま娘の涙を手に弄....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
も持って居らぬけれど「イヤ荷物は悉く停車場へ預けて有ります、其の中には日を経ると傷む者も有りますので猶更グズグズは仕て居られません」彼「御尤も、夫では宜しい怪我....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
矩男ではなかった。厳格清澄なかの女の母性の中核の外囲に、匂うように、滲むように、傷むように、規矩男の俤はかの女の裡に居た。 今改めてかの女はかの女の中核へ規矩....
」より 著者:島崎藤村
。 酔に乗じた老松の端唄が口唇を衝いて出た。紅白粉に浮身を窶すものの早い凋落を傷むという風で、 「若い時は最早行って了った」と嘆息するように口ずさんだ。食卓の....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
離もかれこれともに限りなき傷心の種子とはなりけるなり。さりながら浪子は永く別離を傷む暇なかりき。武男が出発せし後ほどもなく姑が持病のリュウマチスはげしく起こりて....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
魂だね。扨て門を這入ってみると北風枯梢を悲断して寒庭に抛ち、柱傾き瓦落ちて流※を傷むという、散々な有様だ。呉青秀はその中を踏みわけて、自分の室に来て見るには見た....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
されてなすのである。罪悪を犯ししときにきたる内心の苦悩は他人の上に被らせし害悪を傷むのではない。自己の人格の欠陥と矛盾とを嘆くのである。善行をなししときにくる内....
草藪」より 著者:鷹野つぎ
。私自身の入院に至るまでの苦境、私の亡児の忍耐多かった短かい生涯、溯れば私の心の傷む思いもそれからそれへと際限がなかった。 心を傷めることの少ない病床は、同じ....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
能く逃避せむ。但我が老いたる親|並に菴室に在り。我を待つこと日を過さば、自ら心を傷むる恨あらむ。我を望みて時に違はば、必ず明を喪ふ泣を致さむ。哀しきかも我が父、....
」より 著者:森鴎外
が床の壁に立て掛けて、叱られたのである。立てた物は倒れることがある。倒れれば刀が傷む。壁にも痍が附くかも知れないというのである。 床の間の前には、子供が手習に....
人生における離合について」より 著者:倉田百三
ば何か嘆かむ(万葉巻十三) したがってその人のためにも、自分のためにも、それを傷む心の持って行き場がないからである。どうしても彼のために祈り、自分の傷を癒やし....
博物誌」より 著者:岸田国士
まないところはない。そして茨に引掛っては破れ、寒さに会っては裂け、泥によごれては傷む。で、毎朝、夜の帷が引き上げられる度に、襤褸っきれがちぎれ落ちて、あっちこっ....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
、天地の間の沈鬱なようすは一層ひどくなった。うち沈み、歎き、悼み、一瞥にさえ心の傷む風景だった。 竜太郎は、車窓の窓掛をひき、固い隔壁に凭れて眼をとじる。 ....
日本上古の硬外交」より 著者:国枝史郎
焉に在り。今、吾、海を超えて外国を征せんとす。もし事破れて罪爾等に帰せんか、甚だ傷むべし。仍って吾しばらく男装して雄略を起こし、上は神祇の霊を蒙り、下は群臣の助....
レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
大事を告げているのではあるまいか! 従者 おおせの通りでござります。亡び行く魂を傷む鉦の音が、若様の横死を告げておるのでござります。 女子 えッ、若様の横死! ....