傷兵[語句情報] »
傷兵
「傷兵〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
傷兵の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「勲章を貰う話」より 著者:菊池寛
春の朝であった。病院の廊下に吊るされた籠の中の駒鳥は、朝早くから鳴きしきって、負
傷兵たちの夢を破っていた。イワノウィッチは、寝台の上に起き直ると、両手を思い切り....
「新生」より 著者:島崎藤村
を巴里に送った身には久しぶりで地方らしい空気を吸うことが出来た。途中の停車場で負
傷兵を満載した列車にも逢った。戦地の方から送られて来たそれらの負
傷兵は白耳義《ベ....
「一兵卒」より 著者:田山花袋
を悔いはしなかった。敵の捨てて遁げた汚い洋館の板敷き、八畳くらいの室に、病兵、負
傷兵が十五人、衰頽と不潔と叫喚と重苦しい空気と、それにすさまじい蠅の群集、よく二....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
瑞典軍の死傷は三千、聯盟軍は七千を残して敗走せしも、夜の闇は追撃を阻み、その夜、
傷兵どもは徹宵地に横たわりて眠る。払暁に降霜ありて、遁れ得ざる者は、ことごとく寒....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
防戦の張宗昌は、宿州から、徐州、臨城、袞州へと退却をつゞけた。宿州の激戦に依る負
傷兵は、その儘、戦場に遺棄された。のみならず、前線から手足まといとなってついてき....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
羽織のままで大八車を押して行くのもある。甲冑も着ないで馬に乗って行くのもある。負
傷兵を戸板で運ぶのもある。もはや、大霜だ。天もまさに寒かった。 二....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
たのは慶喜の反状が明白な証拠だと言われるのに、この街道を通って帰国した会津藩の負
傷兵が自ら合戦の模様を語るところによれば、兵端を開いたのは薩摩方であったと言うよ....
「夏の花」より 著者:原民喜
、私はさっきの兵隊のところへ持運んで行った。ふと見ると、川の中に、これは一人の重
傷兵が膝《ひざ》を屈《かが》めて、そこで思いきり川の水を呑み耽《ふけ》っているの....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
そう》の余波を及ぼした。輜重車《しちょうしゃ》、弾薬車、行李車《こうりしゃ》、負
傷兵をいっぱい積んだ車などは、フランス軍がそこに足場を得て森に近よって来るのを見....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
殺され、クールフェーラックは殺され、ジョリーは殺され、コンブフェールはひとりの負
傷兵を引き起こそうとするせつな、三本の銃剣で胸を貫かれ、わずかに空を仰いだだけで....
「烏の北斗七星」より 著者:宮沢賢治
》をぷんとうしろへ挙げる艦《ふね》は、この前のニダナトラの戦役《せんえき》での負
傷兵で、音がまだ脚の神経にひびくのです。 さて、空を大きく四へん廻《まわ》った....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
すめた。 私は今でも思い出す。運動会の余興の折に、赤十字の真似をし、私たちは負
傷兵になり、政子姉や藤子姉は四、五級上だから看護婦に扮装して、繃帯を巻いてくれた....
「鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
世間に広く知られるようになりましたのは、日清戦争以後のことで、戦争の当時陸軍の負
傷兵をここへ送って来ましたので、あの湯は切創その他に特効があるという噂がにわかに....
「酒徒漂泊」より 著者:佐藤垢石
であろう。あの縄暖簾は、宿場のどの辺にあったのであろうか。このたび、思いがけなく
傷兵慰問の旅にきて、ひさし振りに信濃路の古き山河の俤を偲び、いまもなお、わが身に....
「ロザリオの鎖」より 著者:永井隆
われむのである。そしてたとえば、この金鵄勲章にしたところで、弾丸をおかして多くの
傷兵を助けた功によって授けられたものなのだが、純真な愛に燃えて
傷兵を助けた結果勲....