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「傷心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

傷心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
みみずく通信」より 著者:太宰治
れぎれの真黒い雲が泳いでいて、陰鬱でありました。荒海や佐渡に、と口ずさんだ芭蕉の傷心もわかるような気が致しましたが、あのじいさん案外ずるい人だから、宿で寝ころん....
さようなら」より 著者:田中英光
題に、この原句と訳を引用し、(誠に人間、相見る束の間の喜びは短かく、薄く、別離の傷心のみ長く深い、人間は常に惜別の情にのみ生きているといっても過言ではあるまい)....
雛妓」より 著者:岡本かの子
障子をもう一枚開け拡げて、月の出に色も潤みだしたらしい不忍の夜の春色でわたくしの傷心を引立たせようとした逸作も遂に匙を投げたかのように言った。 「それじゃ葬式の....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
焼かれて此の如く泥草鞋に蹂躙られつゝある。嗚呼是れ何たる惨事であろう。 此満目傷心の惨状に感慨禁ずる能わず、暫らくは焼けた材木の上を飛び/\、余熱に煽られつゝ....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
、御萱堂とお見受け申します年配の御婦人は、私の前をお離れになって、お引添いの上。傷心した、かよわい令嬢の、背を抱く御介抱が願いたい。」 一室は悉く目を注いだ、....
糸くず」より 著者:国木田独歩
ることは到底|叶うまじきようにかれも思いだした。そこで猜忌の悪徳のためにほとんど傷心してしまった。 そこでかれはあらためて災難一条を語りだした。日ごとにその繰....
「グッド・バイ」作者の言葉」より 著者:太宰治
訳した。まことに、相逢った時のよろこびは、つかのまに消えるものだけれども、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではあるまい。 ....
」より 著者:織田作之助
おりから乳母はかぜけがあり、それがうつったのか赤児は生れて十日目に死んだ。父親は傷心のあまりそれから半年たたぬうちになくなった。 泣けもせずキョトンとしている....
」より 著者:井上紅梅
たりを見廻し、たちまち手脚を顫わし、よろよろと幾歩か退いて眼を※れた。その様子が傷心のあまり今にも発狂しそうなので、華大媽は見かねて身を起し、小路を跨いで老女に....
二都物語」より 著者:佐々木直次郎
してそういう御方針をお執りになったのです。で、お母さまがお亡くなりになり、――御傷心のためかと思いますが、――その時あなたは二歳で後にお遺されになりましたのです....
安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
情豊富ナリ。しかし、水の乏しい吉野で、枕の下に水をくぐらせてしまったのは、誰しも傷心やみがたければ、そうもなろうというものだろう。だいたい人の判断が視覚に幻惑さ....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
を強いられるばかりで病気になったとも思わなかったが、何となく境遇を気の毒に思って傷心に堪えなかった。 『平凡』の予告が現われた時、二葉亭が昔しから推奨したゴンチ....
審判」より 著者:カフカフランツ
うに行った。その後、Kはなおしばらく支店長といっしょだったが、支店長は今日は特に傷心の様子だった。Kになんとかわびねばならぬと思いこんでいるらしく、――二人は親....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
だのについて申し上げましょう? 私が内地から受け取るもののことごとくが、不愉快と傷心の種であることを誰も知らないでございましょうか? 軍隊内では、陛下の寵が私か....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
、花鳥風月を友として悟りすました人のように思うのはあたらないので、花月につけても傷心の歌をうたったのである。 花見ればそのいはれとはなけれども心の中ぞくるしかり....