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傷痕
「傷痕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
傷痕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
、確かにスパルタ式の訓練だった。このスパルタ式の訓練は彼の右の膝頭へ一生消えない
傷痕《きずあと》を残した。恐らくは彼の性格へも、――信輔は未だに威丈高になった父....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
い彼は、じっとその考えを持ちこたえていた。それだけに、一層戦友の言葉は、ちょうど
傷痕《きずあと》にでも触《ふ》れられたような、腹立たしい悲しみを与えたのだった。....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
の影響が、後の夫の子に影響するのを云うのですけど、たいていは、皮膚か眼か髪の色か
傷痕くらいのところで、私のような場合は、おそらく万《まん》が稀《まれ》――稀中の....
「千年後の世界」より 著者:海野十三
前にすっかり技術を完成し、傷がつかないようになりましたのよ。だが、わたしの身体に
傷痕のないのは、昔の外科手術のおかげというようなもののおかげではなく、これは人造....
「蠅男」より 著者:海野十三
んだが……」、と前提して、「その村松という客の前額に、斜めになった一寸ほどの薄い
傷痕がついているだろうか。ハイかイイエか、簡単に応えてくれんか」 ボーイはこの....
「脳の中の麗人」より 著者:海野十三
が、うすく襞状になっているのが見えないこともないが、それが見えたとて、誰もそれを
傷痕と思う者がないであろう。じつにおどろくべき手術の進歩だ。 そのように手術の....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
場は、すっかりお祭騒になってしまった。 濡れる二勇士 「おい杉田、どうだ、
傷痕は痛むか」 飛行島の縁の下ともいうべき組立鉄骨の間で、声がした。 あたり....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
つは数字的な符合なんだよ。と云うのは、提灯の口金と胎龍の頭蓋との寸法であって、刺
傷痕と鉄芯が、双方の円芯に当っているからだ。勿論よく剃りの当った僧侶の頭蓋なら、....
「孔乙己」より 著者:井上紅梅
を著た唯一の人であった。彼は身の長けがはなはだ高く、顔色が青白く、皺の間にいつも
傷痕が交っていて胡麻塩鬚が蓬々と生えていた。著物は汚れ腐って、ツギハギもせず洗濯....
「不周山」より 著者:井上紅梅
て、急に頭を後に向け、他のものを捜したが、しばらくして鉄片を纏いていない丸裸で、
傷痕からまだ血の流れている、それでも腰にだけは破れた布切を巻いているものを見出す....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
したね」 「無論そうなりましょうとも」 とヴィデは、黒眼鏡をガクンと揺すって、
傷痕だらけの物凄い顔を、法水に向けた。 「僕は既から、この事件の起るのが予期され....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
紙の中で語っている一部始終を読み返した。私は歔欷いている自分の哀れな心の中に痛い
傷痕をかんじて、我知らず手足を折られでもした者のように呻き声を放った。 私はそ....
「おじいさんの家」より 著者:小川未明
のだろうということです。医者はボンの体を子細に検べていましたが、後足についている
傷痕を指さして、 「この傷は、いつつけたのですか。」と聞きました。 「その傷は二....
「みつばちのきた日」より 著者:小川未明
のだと思っていました。 「外へ出たいなどと、ほんとうにいやなこった。俺は、今年も
傷痕が痛んで、ろくな花が咲けそうでない。もう一|年このままに、この室の中で眠るこ....
「しんぱくの話」より 著者:小川未明
壊れたら、おそらくそれが最後だったでありましょう。 しかし、いまは、そのときの
傷痕も古びてしまって、幹には、雅致が加わり、細かにしげった緑色の葉は、ますます金....