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傾倒
「傾倒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
傾倒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
、いっこうそれを気にしない。そうして自己独得の芸術的感興を表現することに全精力を
傾倒するところの人だ。もし、現在の作家の中に、例を引いてみるならば、泉鏡花《いず....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ある。いやしくも文芸にたずさわる以上、だれでもぜひ一所懸命になってこれに全精神を
傾倒せねばだめであるとはいわない。人生上から文芸を軽くみて、心の向きしだいに興を....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
世界が、K氏をめぐって漠然と感じられる。それで麻川氏の性格や好みがますますK氏に
傾倒して行くことも察せられる。それからすこしつき合って居るうちに、部厚なこっくり....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
一つの観念――しかない人間というものは、興味を与えられると、それに向って偏執的に
傾倒してしまって、ひたすら逆の形で感応を求めようとする。その倒錯心理だが――それ....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
たくさんいるのにちがいない」と。自負心の強いこの詩人にしてこの言をなした、もって
傾倒のほどが知られよう。だが彼の挙げた七人の詩人の中にはわがオマル・ハイヤームの....
「読書子に寄す」より 著者:岩波茂雄
。この計画たるや世間の一時の投機的なるものと異なり、永遠の事業として吾人は微力を
傾倒し、あらゆる犠牲を忍んで今後永久に継続発展せしめ、もって文庫の使命を遺憾なく....
「役者の一生」より 著者:折口信夫
中将姫は田之助の芸であったから、謂われがない訣でもない。自分の芸に合わなくても、
傾倒している人の芸はしたのである。この時、私は尋常三年の頃であったが、「朝顔日記....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
つけて保存する気になったのか今日の我々にはその真理が了解出来ないが、ツマリ馬琴に
傾倒した愛読の情が溢れたからであるというほかはない。私の外曾祖父というは決して戯....
「昔のことなど」より 著者:上村松園
は師匠の真似をして居てもちっとも構わないと思います。真似しないではいられない程に
傾倒し、先生を豪いと思ってこそほんとの弟子の心持だと思います。それを近頃のように....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
半解ながらも多少|窺った外国小説(その頃ゾラやドウデも既に読んでいた)でも全幅を
傾倒するほどの感に打たれるものには余り多く出会わなかったから、私の文学に対するそ....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
古が死んでからは専ら倭絵の粉本について自得し、旁ら容斎の教を受けた。隆古には殊に
傾倒していたと見えて、隆古の筆意は晩年の作にまで現れていた。いわゆる浅草絵の奔放....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
込で、岳武穆や陸宣公に鍛えられていた上に、ヘルチェンやビェリンスキーの自由思想に
傾倒して意気|欝勃としていたから、一から十までが干渉好きの親分肌の矢野次郎の実業....
「四つの都」より 著者:織田作之助
登場する。この「雨男」とは彼が画面に現れると、必ず雨が降るという人物で、私が最も
傾倒したのはこの人物である。次に「木の都」に於ける私の青春の回想は映画では表現不....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
す。つまり、私は貴方の価値を高く感銘し、貴方を愛しています。……あなたは私が最も
傾倒する同時代の音楽家で常にあられることでしょう。もしも私にきわめて大きい喜びを....
「茂吉の一面」より 著者:宇野浩二
等があり、共に精微を極めたものである。日本では故岸田劉生が一時これらの画家に心を
傾倒して模倣した絵が残つてゐる。 これは、昭和十三年の三月号の「アララギ」の表....