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「僅か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

僅かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ある女房の所へ御忍びになった御帰り途で、御供の人数《にんず》も目立たないように、僅か一人か二人御召連れになったまま、その明るい月の中を車でゆっくりと御出でになり....
十円札」より 著者:芥川竜之介
堀川保吉はいつも金に困っていた。英吉利《イギリス》語を教える報酬《ほうしゅう》は僅かに月額六十円である。片手間《かたてま》に書いている小説は「中央公論《ちゅうお....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
百里の半ばを九十九里とする超数学を知らなければならぬ。 又 天才とは僅かに我我と一歩を隔てたもののことである。同時代は常にこの一歩の千里であることを....
歯車」より 著者:芥川竜之介
迂濶に常談も言われないのを感じた。轢死した彼は汽車の為に顔もすっかり肉塊になり、僅かに唯|口髭だけ残っていたとか云うことだった。この話は勿論話自身も薄気味悪いの....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
だ往来などはなかった。若しその中に少しでもにぎやかな通りを求めるとすれば、それは僅かに両国から亀沢町に至る元町通りか、或は二の橋から亀沢町に至る二つ目通り位なも....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ってあり、そしてその傍に白木造りの、小さい建物がありました。四方を板囲いにして、僅かに正面の入口のみを残し、内部は三|坪ばかりの板敷、屋根は丸味のついたこけら葺....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
のである。かの仏教の安価なる一蓮托生説だの、基督教の一本調子な恋愛至上説だのは、僅かに真理の一部を掴んだに過ぎざる、甚だしく歪んだもので、到底今後の人類を率いる....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
既に十分|憐れまれるに足る。嬰児は屡※過って火に陥る、若しくは水に溺れる。そして僅かにそこから這い出ると、べそをかきながら又匍匐を続けて行く。このいたいけな姿を....
銀座は昔からハイカラな所」より 著者:淡島寒月
大分評判が悪く、随って乗るのも危ながってだんだん乗客が減ったので、とうとうほんの僅かの間でやめてしまいました。その後このオムニバスの残骸は、暫く本所の緑町に横わ....
亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
で、暗いものの標語に花火屋の行燈というが、全くその通りである。当時は花火の種類も僅かで、大山桜とか鼠というような、ほんのシューシューと音をたてて、地上にただ落ち....
大切な雰囲気」より 著者:石井柏亭
五年中に書かれたものである。 体質の弱い彼は一年の間に画作に適する時季を極めて僅かしか持たなかったと毎々言って居たが、随筆には時季を選ばなかったのであろうか。....
新日本の進路」より 著者:石原莞爾
た。今日世界の經濟方式は、アメリカ式かソ連式かの二つしかない。しかしこれらは共に僅かな人口で、廣大な土地と豊富な資源のあるところでやつて行く方式である。日本は土....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
は初めてのことであり、いろいろ予想外の事に驚かされることが多かった。満州事変から僅かに四年、満州事変当初の東亜に於ける日・ソの戦争力は大体平衡がとれていたのに、....
朱日記」より 著者:泉鏡花
で、はっと不意に、こっちが立停まる処を、抜けた。 下闇ながら――こっちももう、僅かの処だけれど、赤い猿が夥しいので、人恋しい。 で透かして見ると、判然とよく....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
枝に、雀が一羽、たよりなげに宿っていた。正に前刻の仔に違いない。…様子が、土から僅か二尺ばかり。これより上へは立てないので、ここまで連れて来た女親が、わりのう預....