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「億劫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

億劫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:芥川竜之介
知らぬ。さりながらあだ面倒な趣向などを凝らすのも、予のような怠けものには、何より億劫千万《おっくうせんばん》じゃ。ついては今日から往来のその方どもに、今は昔の物....
或る女」より 著者:有島武郎
をするほかなかった。始めて口をきく幾人もの男の前で、とっかは物をいうのがさすがに億劫《おっくう》だった。興録は事務長の意向を読んで取ると、分別《ふんべつ》ぶった....
或る女」より 著者:有島武郎
さんの事は前から伺っていたんですが、わたしは初めてのお方にお会いするのがなんだか億劫《おっくう》な質《たち》なもので二つ前の日曜日までとうとうお手紙も上げないで....
姪子」より 著者:伊藤左千夫
時、朝っぱらの心持ったらそらアえいもんだからなア、年をとってからは冬の朝は寒くて億劫《おっくう》になったけど、其外《そのほか》ん時には朝早く起きるのが、未《いま....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
行く。私は又その河の両岸をなす土壌の何物であるかをも知らない。然しそれはこの河が億劫の年所をかけて自己の中から築き上げたものではなかろうか。私の個性もまたその河....
妖術」より 著者:泉鏡花
出ないでいた。なぜか、がっかりして、気が抜けて、その横手から下りて、路を廻るのも億劫でならぬので、はじめて、ふらふらと前へ出て、元の本堂前の廻廊を廻って、欄干に....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
、とこの方を関所破りに扱います、困りました。 寺方はちょっと聞くと可いようで、億劫ですし、教会へ持込めば叱られます。離れた処で寮なんぞ借りられない事もありませ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
た。しかるに唯今は、もう十一時をかなり廻ったから、帰ってまた銀座裏まで出直すのは億劫だし、そうかといって手ぶらでは行っても仕方がないしと、後悔しているところへ、....
三人の双生児」より 著者:海野十三
「でも妾は男性とそういう原因を作ることを好まないのよ。つまりそういう交渉を極端に億劫がる性質なの。そういう交渉なしに子供が出来るんだったらいいけれども、そうもゆ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
御子息から相談を打たっしゃると、隠居と言えば世を避けたも同様、また本宅へ居直るも億劫なり、年寄と一所では若い御婦人の気が詰ろう。若いものは若い同士、本家の方へお....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
手を伸ばすか、どうにかすれば、水差に水はある筈、と思いながら、枕を乗出すさえ億劫で、我ながら随意にならぬ。 ちょうど、この折だったが、びしょびしょ、と水の....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
方に移ることに致しましょう。修行場の変更などと申しますと、現世式に考えれば、随分億劫な、何やらどさくさした、うるさい仕事のように思われましょうが、こちらの世界の....
西航日録」より 著者:井上円了
薈諸哲心肝于一堂、鎔大地精英于一籠、藐茲丈室与天穹窿羹牆如見、夢寐相逢、諸星方寸億劫且暮、待来者之折衷。 孔子二千四百五十三年康有為 題 (東西南北のいかな....
梟の眼」より 著者:大倉燁子
座を歩いているうちに夕方になったので、円タクを拾って家へ帰ったが、外套を脱ぐのも億劫な位、がっかりした。考えれば、考えるほど、気が滅入る。 「ああ、あのダイヤが....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
ちに疲労れてきて、その儘ごろりと横になった、血の着いたシーツを取り代えるのももう億劫だった、が、寝てみるとまた妙に頭が冴えて眠つかれなかった。 それでもいつの....