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儼然
「儼然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
儼然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
かえ》りて、 「なんですと?」 「この馬車は腕車より迅《はや》いという約束だぜ」
儼然《げんぜん》として御者は答えぬ。 「そんなお約束はしません」 「おっと、そう....
「夜行巡査」より 著者:泉鏡花
」 「伯父さんを?」 「伯父でなくってだれが落ちた」 「でも、あなた」 巡査は
儼然《げんぜん》として、 「職務だ」 「だってあなた」 巡査はひややかに、「職....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
の大群はいま網のうえに乗ってきたのだ。 一瞬、舟の上に仁王立ちになった船頭は、
儼然として言いはなった。 「起こせ!」 起こせ、とは網を起こせということだ。声....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
取は、一寸、まごついた。が、すぐ、光った眼で中尉を見つめた。 「よせ!」重藤は、
儼然と云った。「俺れは何もかも知って居るんだぞ!」 「はい、何ですか?」 償勤....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
六月二十日午前五時、秋水のいわゆる「鬼が島の城門のような」巣鴨監獄の大鉄門は、
儼然として、その鉄扉を開き、身長わずかに五尺一寸の予を物々しげにこの社会に吐き出....
「空中漂流一週間」より 著者:海野十三
ておるのでありますから、この点お忘れなく、御両所の不断の御骨折を切望いたします」
儼然といい放って、「火の玉」少尉は廻れ右をして帰っていった。 後を見送って、田....
「太平洋雷撃戦隊」より 著者:海野十三
任務重し! 発令所には、さっきまで司令塔にいた艦長と先任将校とが、いつの間にか
儼然たる姿を現しています。そして艦長の清川大尉の手には、一枚の紙片が、しっかと握....
「空襲下の日本」より 著者:海野十三
る。大阪附近も大丈夫だし、浦塩から来ても、これだけ固まっていればよい。帝都の西を
儼然と護っているわけサ」 「浜松にも飛行連隊があったネ、兄さん」 「そう。浜松の....
「流線間諜」より 著者:海野十三
立っていたと思ったのに、何処へ行ったか、首領の姿がなかった。床の上には丸い鉄扉が
儼然と閉じていて、蹴っても踏みつけても開こうとはしない。 「ちぇッ――逃がしたか....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
ていた。 「御老体、」 雪叟が小鼓を緊めたのを見て……こう言って、恩地源三郎が
儼然として顧みて、 「破格のお附合い、恐多いな。」 と膝に扇を取って会釈をする....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
魔の徒弟とはならない。汝がこれしきの真理を会得せぬこそ、寧ろ意外である。すべては
儼然たる因果の理法の現れで、金は飽まで金、鉛は最後まで鉛である。魂の品質は、決し....
「翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
も出ない感じである。それはよく言われる「等量」の問題などの技術的条件の底の底に、
儼然《げんぜん》として鎮座している。もちろん僕はここで、時処を超え、人情を超え、....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
て私は湖岸の断壁岩に屹立して遙かに雲間に隠顕するところのヒマラヤ雪峰を見ますると
儼然たる白衣の神仙が雲間に震動するがごとく、実に豪壮なる光景に無限の情緒を喚起さ....
「富籤」より 著者:神西清
が当たったのかもしれない見込みがあるんだ。見込みだけなんだよ。けど、その見込みは
儼然としてあるんだ。」 「そうよ、だから見て御覧なさいよ。」 「待て、待て。幻滅....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
空翠|濃かなる黒部の大谷の上、蒸し返す白雲を褥に懐しみのある鷹揚さを以て、威儀|
儼然と端座している、藍緑の衣を綾どる数条の銀線のみは流石に冷たい光を放ってはいる....