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元値
「元値〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
元値の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
の字軒の主人の話によれば、靴屋は半之丞の前に靴を並べ、「では棟梁《とうりょう》、
元値《もとね》に買っておくんなさい。これが誰にでも穿《は》ける靴ならば、わたしも....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
バラックの窓かけにでもしたら素敵なものが出来る。手土産にして大したもんだ。一尺の
元値が三十銭だから、これだけで四円五十銭になるんだが、負けて三円……二円半……エ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
行くのである。彼は関口屋の長屋に住んでいるばかりでなく、商売物の煙草を関口屋から
元値で卸《おろ》して貰っているので、朝に晩に親しく出入りをしていた。 大吉と年....
「死までを語る」より 著者:直木三十五
る。「タツ」は「タ」を五に五番目の「ツ」で、五に五をかけて、二十五、計七十五銭が
元値で、これに、一円四十五銭位の札をつけ、二十銭引いて、一円二十五銭で、五十銭の....
「悪魔祈祷書」より 著者:夢野久作
ャント存じておりますがね。そこが商売冥利って奴で、黙って知らん顔をしております。
元値を考えたら大したもんじゃ御座んせんしね。ショッチュウ気を付けてケースの中味が....
「金銭無情」より 著者:坂口安吾
らさげて引上げてしまふ。彼は五升を六百円で仕入れてくるから、九百円もうかる。然し
元値は千五百円で、あなた方なみに三百円しか儲からない、犠牲的奉仕だと言つておく。....
「町内の二天才」より 著者:坂口安吾
旦那のことだから、あれを売って商売なさる筈はないが、どうでしょうね。あれを安く、
元値でゆずって下さいな。私に一モウケさせて下さい。恩にきますよ」 金サンは天元....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
人にとっては迷惑この上もないことである。 『商売は儲かる』という人は、売上げから
元値を引けば、後はそっくりそのまま利益として残るものとでも見るのであろうが、商売....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
うである。 またこれもやはり時代のせいであろうか、昔風のいわゆるカケヒキ「損と
元値で蔵を建て」式なインチキな販売法は今は流行らない。相当の知識を持った紳士的商....
「西瓜」より 著者:岡本綺堂
屋の亭主は伊平の話を聴いて顔をしかめた。 「実は小原さまのお屋敷から頂く野菜は、
元値も廉し、品も好し、まことに結構なのですが、ときどきにお得意さきからお叱言が来....
「雁」より 著者:森鴎外
具の好いのが使ってあるわりに安いから、保険でも附けて置けばいつ売ることになっても
元値は取れると思って安心していられる。無縁坂にしよう、しよう。己が夕方にでもなっ....
「兜」より 著者:岡本綺堂
いので、兜は邪魔物のように店の隅に押込んであったのを、金兵衛がふと見付け出して、
元値同様に引取ったが、他にもいろいろの荷物があって、その持ち抱えが不便であるので....
「旧藩情」より 著者:福沢諭吉
《やすり》にて金を貸し、または態《わざ》と高利《こうり》にてその金を預り、または
元値《もとね》を損して安物を売る等、様々《さまざま》の手段を用いてこれに近づくと....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
るわけにはゆかないでしょうか」 「差上げましょう」 「お代は」 「てまえが求めた
元値でよろしゅうございます」 「すると何程」 「金二十枚でございます」 「………....