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元手
「元手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
元手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
二年|前《ぜん》の冬、ちょうどある大雪の夜《よる》です。わたしは博奕《ばくち》の
元手《もとで》が欲しさに、父の本宅へ忍びこみました。ところがまだ囲いの障子《しょ....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
でたった所で、議論が干《ひ》ないのは当り前だろう。そこで僕が思うには、この金貨を
元手にして、君が僕たちと骨牌《かるた》をするのだ。そうしてもし君が勝ったなら、石....
「放浪」より 著者:織田作之助
は几帳面な男と思い、ふと女めいたなつかしさも覚えていた。 ある日、北田は博打の
元手もなし売屋も飽いたとて、高峰、どこぞ無心の当てはないやろか。といったその言葉....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
れ故郷を立ち退くことになったのさ。空身といっても千両ほどの金をもっている。それを
元手に江戸で何か商売でも始めるつもりだから、この後もまあよろしく願いますよ」 「....
「或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
相手の男からちょっと纏《まとま》った金を貰《もら》ってきていた。吾平爺はその金を
元手として、自分と娘の生活のためにもう一度奮い立たなければならなかった。 鶴代....
「世相」より 著者:織田作之助
腹と蝨でまんじりともせず、夜が明けると一日中何も食わずにブラブラした。切符を買う
元手もなければ売る品物もない。靴磨きをするといっても
元手も伝手《つて》も気力もな....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、関口屋へお由を引き取るに就いては、行くゆくは相当の婿を見付けて、それに幾らかの
元手でも分けてやって、兄きの家を相続させると云うような約束になっていたらしい。そ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ういうふうに誤魔化したか、ともかくも一本の蝋燭の芯を売って通用の金に換え、それを
元手にして二年ほど何か商売をやっていたんですが、その商売が思うように行かなかった....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
商売も出来ないであろうとは察していた。今のうちから覚悟して、ほかの商売をはじめる
元手でも稼ぎためるか、廉い田地でも買うことにするか、なんとかして老後の生計を考え....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
くと、女は涙ながらに答えた。 「わたくしの夫は小商いをしている者で、銭五十|緡を
元手にして鴨や鵞鳥を買い込み、それを舟に積んで売りあるいて、帰って来るとその
元手....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
な商売人」と称してはいたけれども、どうも商売とは言いがたいものなのであった。彼の
元手は、背の壊れた椅子を切り縮めて拵えた木製の床几一つだけであった。その床几を、....
「女侠伝」より 著者:岡本綺堂
ったのだ。彼は分け前の銀をうけ取ると共に、娘を連れてその郷里を立去って、その銀を
元手に旅商人になったが、比較的正直な人間とみえて、昔の罪に悩まされてその後はどう....
「俗臭」より 著者:織田作之助
分々々の山分けにしてやった。狭山で四日過し、こんな目のまわる様な仕事はかなわん、
元手が出来たから博奕をしに大阪に帰りたいという婆さんを拝み倒して、紀州湯崎温泉に....
「放浪」より 著者:織田作之助
帳面な男だと思い、ふと女心めいたなつかしさを覚えていた。 ある日、北田は博打の
元手もなし売屋も飽いたとて、高峰、どこぞ無心の当てはないやろか。といったその言葉....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
、当然のお返しだったのである。 一方商売の方はいよいよいけなくなっていた。足が
元手の稼業なので、人力車の代金がかさみ、この支払いが苦の種になった。借金で首が回....