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元禄袖
「元禄袖〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
元禄袖の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海流」より 著者:宮本百合子
押した。 「宏子さんを呼んでおいで」 風呂から上ったばかりだった宏子が、珍しく
元禄袖の飛絣を着て、羽織の紐を結びながら、 「なアに」 と入って来た。 「まあち....
「風知草」より 著者:宮本百合子
日に解放された。いが栗に刈られた重吉の髪は、まだ殆どのびていない。 ひろ子は、
元禄袖の羽織に、茶紬《ちゃつむぎ》のもんぺをはいて、実験用の丸椅子にかけ、コンロ....
「伸子」より 著者:宮本百合子
た。 ある日伸子は珍しく、今日こそ、と意気ごんだ気持で床を出た。彼女は、紺絣の
元禄袖の着物で、どたどた食堂に行った。珍しく両親がテーブルに向っていた。 「――....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
大きすぎるほどぱっちりとして髪を二つに割って両耳のところで結び玉をこさえている。
元禄袖のセルに海老茶のはかまをはき、一生懸命にゴムほおずきを口で鳴らしていた。 ....
「青春」より 著者:宮本百合子
り、昔風のポンプで水まきしたり、お客様のときは御給仕役もまわって来た。久留米絣の
元禄袖の着物に赤いモスリンの半幅帯を貝の口に結んだ跣足の娘の姿は、それなり上野か....
「働くために」より 著者:宮本百合子
、私のような働きの性質だと、どうしても働き着即ちふだん着しか仕方がない。夏は袂を
元禄袖にしているのもある。願くば、このくるみぶち付羽織だの着物だのに、せめて心持....
「図書館」より 著者:宮本百合子
た人があった。 はじめてこの図書館へ来たのは、女学校の二年ごろのことであった。
元禄袖の着物に紫紺の袴、靴をはいた少女が、教室の退屈からのがれてこの高机の前に立....
「菊人形」より 著者:宮本百合子
さな店にも、台所にも見えていなかった。 日露戦争がすんだころ、東京で元禄模様、
元禄袖などと一緒に改良服というものが大流行した。歴史のありのままの表現で語れば、....
「盗難」より 著者:宮本百合子
口々に騒ぎ立てるので、家中はすっかり大騒動になって仕舞った。 私は、紺がすりの
元禄袖の着物に赤い小帯をチョコンとしめたまま、若し何処か戸じまりに粗漏な所があっ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
った。
七歳《ななつ》のお美夜ちゃん……稚児輪《ちごわ》に結《ゆ》って、派手な
元禄袖《げんろくそで》のひとえものを着て、眼のぱっちりしたかわいい顔だ。
作爺....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
てしまうのよ。 一般に女の装は随分かわりましたが、特にこの一ヵ月には、殆ど大抵
元禄袖になりました。いい着物をぶっすりと切っているのが、一種の伊達めいて、面白い....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
せん。 年末に、おせいぼ、お年玉として書いて下すったお手紙。さっきお正月らしく
元禄袖を胸の前にかき合わせて、もんぺの足どりも可愛ゆく門まで見に行きましたが、ま....
「日記」より 著者:宮本百合子
由をきく。悦ばしさに堪えず。親切に教えてくれたことを感謝し、小雨を冒し、紺がすり
元禄袖の着物にはきすての下駄で出かける。電車塩町から市役所まであり、三橋まで徒歩....
「帯の巾が広すぎる」より 著者:上村松園
じが真に自由で美しいものと考えております。然しきものは袖の簡略と美観を保つために
元禄袖のように風流に仕立てたいと思います。 何しろ若い方は日本の古い服装になじ....
「帯広まで」より 著者:林芙美子
―或る雪の降った夜、稽古を済ませると、踊子達が帰り支度を始めている後から、九太は
元禄袖の八ツ口に手をつっこんで呆んやり廊下を歩いている伊代を呼び止め、家まで送っ....