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「兄様〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

兄様の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
クチマネ」より 著者:海若藍平
も巡査さんも春夫さんも支那人も身動き出来ぬ位になりました。その中に、 「アッ、お兄様」 と言って嬉し泣きに泣きながら春夫さんに縋《すが》り付いた女の児がありま....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
お兄さまも、御壮健で、立派に御出世遊ばして、おめでとうございます」 昔通り、お兄様と呼ばれて、新一郎は涙ぐましい思いがした。 「今度は、いつ上京なされた?」 ....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
くなりました。あなたさまの事を思えばすぐ涙が出ますの。それにつけてもありがたいお兄様のおことば、あなたさまの方はそれで安心ができます。 わたしの考えには深田の....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
らお姉様の枕頭にはレモナーデのコップがあったのです。覚えていらっしゃいますか、お兄様の死体の側にもレモナーデのあったことを。それから、これは一寸お嬢様には申し上....
奇妙な遠眼鏡」より 著者:香倶土三鳥
した。 けれどもリイはその御馳走をたべようとはしませんでした。お父様やお母様や兄様たちにだまっておうちを出て月の世界に来たのですから、リイは心配で心配でたまら....
落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
でいて、売れば随分の価になるものでしたけれど、兄のためにおいてあるのでした。 「兄様、父様に輸血をしたの」 「父様随分おわるいの?」 「そんなでもないのよ、いつ....
鸚鵡蔵代首伝説」より 著者:国枝史郎
うそうお前さんには義兄さんの、雄之進様がお洗いになったのだよ」 「おお、そのお義兄様は、お健康で?」 「いいえ、それがねえ」とお篠は顔を伏せた。 「遠い旅へお出....
剣侠」より 著者:国枝史郎
「汝! ……待て! ……極重悪人」 追って出た若い武士の叫びであった。 「お兄様! ……お兄様!」 抱えられている娘は悲鳴をあげた。 「陣十郎だ!」とその....
おせん」より 著者:邦枝完二
る時より外には、滅多に放したことのない長煙管を、いつも膝の上についていた。 「お兄様は、どちらにお出かけなされた」 「さァ、どこへおいでなさいましたか、つい仰し....
犬と人形」より 著者:海若藍平
今度はお庭の隅にポチのお墓をこしらえ始めました。 花子さんはそれを見て、 「お兄様、お人形が焼けなかったからポチもきっと無事ですよ。お墓を作るのはおよしなさい....
兄妹」より 著者:岡本かの子
は袂から真白なものを一本取り出し指先でしゃりしゃり一端を揉み始めた。 ――あら、兄様、タバコ吸い始めたの。 ――ああ。 兄は、まだ稚気の抜け切らぬ愛らしく淋し....
四つの都」より 著者:織田作之助
いる。 初枝(見送って)「あの方、どうしてあんな髭なんか生やしてるのでしょう、お兄様のお友達だから、まだ二十代なんでしょう?」 清子「兄が南方で戦死して、あたし....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
話を聞いてしまったんですから、貴方がどうしても私の言葉をお信じ下さらないなら、お兄様をお連れしてまいりましょう』 『今頃兄だなんて、突然現われて来たって誰が信じ....
情鬼」より 著者:大倉燁子
安心して居りました処、十日ばかり前に、知らない名の女の人から書面が参りまして『お兄様のお遺骨は私が頂戴いたしました。御生前からのお約束でございますから、お預りい....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
に死んで行った文夫の心持も分るような気もしますけれど――』 『それで武雄さんはお兄様からあなたの将来を頼まれたから、あなたを保護するためにも結婚しなければならな....