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「兄者〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

兄者の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
ロマネスク」より 著者:太宰治
に落してぐっと呑みほした。三郎はそれを聞いてしばらく考えごとをしてから、なんだか兄者人《あにじゃびと》のような気がすると前置きをして、それから自身の半生を嘘にな....
高野聖」より 著者:泉鏡花
か捗取《はかど》らず、七日《なぬか》も経ったので、後《あと》に残って附添っていた兄者人《あにじゃびと》が、ちょうど刈入で、この節は手が八本も欲しいほど忙《いそが....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
の大広間には、新郎新婦相並んで正面赤毛布の上に座って居る。結婚証書を三通|新婦の兄者人に書いてもらって、新郎新婦をはじめ其|尊長達、媒妁夫妻も署名した。これで結....
丹下左膳」より 著者:林不忘
の立つ人を立ちあいに……と、こっちが申し出たのに対して、望みどおりに、剣の上でも兄者人《あにじゃひと》たる柳生対馬守が、判定者! もう、のっぴきならない。 ....
元禄十三年」より 著者:林不忘
に、打破の二字を加えて、自分を鞭撻《べんたつ》するように、こころに大書した。 「兄者、お在室《いで》かな。」 大声がして、縁の障子が開いた。辰馬が、荒あらしく....
口笛を吹く武士」より 著者:林不忘
行った。 密談が、つづいた。 元禄十五年、十二月四日だ。 三 「兄者兄者っ――!」 清水一角の武骨な手が、きょうも朝から食《く》らい酔って大....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
の、我が手で水を向けて、娘の心を誘うておいて、弓でも矢でも貫こう心はなく、先方の兄者に、ただ断り言われただけで指を銜えて退ったいの、その上にの。 我勝手や。娘....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
ゃあございません、寄合にも上席で、三蔵旦那でございまする。 誰のお庇だ、これも兄者人の御守護のせい何ぞ恩返しを、と神様あつかい、伏拝みましてね、」 と婆さん....
丹下左膳」より 著者:林不忘
》へもよりつかずに繋累《けいるい》を断った栄三郎ではないか。 律気《りちぎ》な兄者人はどんなに怒っていることであろう! あの五十両もかわいいお艶のためとはい....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
はありませんし、人間はもともと鬼になり易いです。京子は十二年前に勘当された加十に兄者人としてのナジミがないから、他人に財産をとられるような怒りや呪いがあったかも....
かもじの美術家」より 著者:神西清
、町の床屋の面々を呼びあつめて、こう申し渡したものです、―― 「もしこのわしを、兄者びとカミョンスキイ伯爵同様の男ぶりに仕上げてくれる者があったら、その者には小....
私本太平記」より 著者:吉川英治
かならずと、こう書いておられる以上、よほどなお見通しがなくては能わぬこと。ああ、兄者人もさぞ悶々としているだろうに、何とかこの吉報を、知らせる手だてはないものか....
私本太平記」より 著者:吉川英治
先見だけは、いつも高氏の胸にある。 その兄の隙を見て、直義が、ふと誘った。 「兄者人、お手すきなれば、裏の丘へのぼってみませんか」 「オ、直義か。まだ二人だけ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
「もとよりです。懸命にお諭しつかまつッた。けれど、耳にもかけるふうではない。……兄者には、ここ数日、泣かんばかり出陣の儀を、おすがりもし、言い争いもして、しかも....
私本太平記」より 著者:吉川英治
く。すると以前の悪冠者らしいツラだましいが、その薄笑いの底にチラとする。 「イヤ兄者人、そこをふかく訊かれると、なんともはや面目はございません。こうお顔向けもな....