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充
「充〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
充の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十本の針」より 著者:芥川竜之介
て」は格別大差のあるものではない。「人として」のボオドレエルはあらゆる精神病院に
充《み》ち満ちている。ただ「悪の華《はな》」や「小さい散文詩」は一度も彼らの手に....
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
む》ろにパイプから立ち昇《のぼ》る煙。
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煙の満ち
充ちた飾り窓の正面《しょうめん》。少年はこの右に佇《たたず》んでいる。ただしこれ....
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
《やまがたありとも》に至る長州の人材を讃嘆《さんたん》した。が、この虚偽の感激に
充《み》ちた、顔色の蒼白《あおじろ》い高等学校の生徒は当時の大導寺信輔よりも寧ろ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
ちに表現されたものは、抒情《じょじょう》なり叙景なり、わずかに彼の作品の何行かを
充《みた》すだけの資格しかない。そういう芸術は、彼にとって、第二流の芸術である。....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
った。この薄暗い内陣《ないじん》の中には、いつどこからはいって来たか、無数の鶏が
充満している、――それがあるいは空を飛んだり、あるいはそこここを駈けまわったり、....
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
える歴史は、――あるいはまた小児と大差のない日本男児に教える歴史はこう云う伝説に
充ち満ちている。たとえば日本の歴史教科書は一度もこう云う敗戦の記事を掲げたことは....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
です。お聞きなさい、御一生の御艱難辛苦《ごかんなんしんく》を!」
神聖な感動に
充ち満ちた神父はそちらこちらを歩きながら、口早に基督《キリスト》の生涯を話した。....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
のコップとは、再び無愛想なウェエタアの手で、琥珀色《こはくいろ》の液体がその中に
充《みた》された。いや、そればかりではない。二つのコップを囲んでは、鼻眼鏡をかけ....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
の線路のある二間ばかりの堤《つつみ》だった。人っ子一人いない麦畑はかすかな物音に
充ち満ちていた。それは誰か麦の間を歩いている音としか思われなかった、しかし事実は....
「早春」より 著者:芥川竜之介
の心は少しも喜びに躍っていない。むしろ何か義務に対する諦《あき》らめに似たものに
充たされている。彼もあらゆる男性のように三重子に倦怠《けんたい》を感じ出したので....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
、それから着物の絹ずれの音、――洞穴の内はそう云う物が、榾明《ほたあか》りの中に
充ち満ちたせいか、急に狭くなったような心もちがした。
十六人の女たちは、すぐに....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
所の一つに数えられるのである。しかもあのクレオパトラは豪奢《ごうしゃ》と神秘とに
充《み》ち満《み》ちたエジプトの最後の女王ではないか? 香の煙の立ち昇る中に、冠....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
見えるかも知れぬ。が、広い洛中洛外《らくちゅうらくがい》、無量無数の盲人どもに、
充ち満ちた所を眺めたら、――有王《ありおう》。お前はどうすると思う? おれならば....
「初雪」より 著者:秋田滋
別に淋しいとも思わなかった。と云って、彼女は良人を愛していなかったわけではない。
充分愛してはいたのであるが、さりとて、良人は自分がそばにいないことをその妻に物足....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
言うたら、ファラデーは多少失望して見えた。 ファラデーがある事実を知るのには、
充分満足するまでやって見ることを必要とした。それですっかり判ると、その次にはこれ....